奈良女子大、企業と連携し理系人材育てる

 奈良女子大工学部のワークショップで、考案したスマートフォンアプリをプレゼンする学生ら=3月、奈良市
 奈良女子大工学部のワークショップで、考案したスマートフォンアプリをプレゼンする学生ら=3月、奈良市


女子大で初めて工学部を設置した奈良女子大(奈良市)は、企業と連携したワークショップを重ねて理工系人材の育成を強化している。大学生や女子高校生らがIT企業と災害時の課題を解決するアプリを開発するなど初開催から2年を目前に、成果が出始めた。卒業後の働き方を想像する機会になり、大学担当者は理工系に興味を持つ中高生の増加を期待する。(共同通信=古俣友理)
「災害時の課題は何でしょうか」。3月下旬に開いたワークショップで、ITコンサルティング企業アバナード(東京)の社員が学生に問いかけた。参加者は起震車で南海トラフ巨大地震を想定した揺れを体験した。立っていられないほどの揺れに悲鳴が上がる。3日間、厳しい状況を想像しながら課題を探った。
終盤は全国から集まった女子高校生14人を含む参加者約20人が2〜4人のチームに分かれ、アバナード社員の手ほどきを受けながら簡易的なプログラミングに挑戦。スマートフォンアプリの開発に取り組んだ。
旅行先で安全な避難ルートを案内するアプリを作った奈良女子大の学生(21)は「奈良を訪れる外国人観光客が災害時に混乱しない方法を考え、発想した」と話した。
ワークショップを主催した奈良女子大の長谷圭城(ながたに・たまき)教授(工学系)は「自分の状況を整理し、災害時に人を安心させるアプリが多く作られた」と評価した。
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の高等教育機関の卒業・修了生に占める女性の割合は、2021年時点で「自然科学・数学・統計学」の分野で27%、「工学・製造・建築」で16%で、いずれも加盟38カ国の最下位だった。
こうした現状を打開するため、奈良女子大は2022年に工学部を設置した。2023年7月から女性エンジニアを養成するためのワークショップを開催し、工作機械大手のDMG森精機や川崎重工業といった企業も参加する。長谷教授は「現在理工系を志していない中高生にも参加してほしい」と呼びかけている。
(共同)

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