森永ヒ素ミルク事件、賠償認めず

 森永ヒ素ミルク事件で被害者が森永乳業に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁に向かう原告(左端)ら=22日午後
 森永ヒ素ミルク事件で被害者が森永乳業に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁に向かう原告(左端)ら=22日午後


1955年に発生し、1万3千人超が被害を受けた「戦後最大の食品中毒」とされる森永ヒ素ミルク事件で、脳性まひになった大阪市の女性(70)が救済が不十分だとして森永乳業(東京)に慰謝料など5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(野村武範裁判長)は22日、請求を棄却した。
事件では、森永乳業徳島工場(閉鎖)で製造された粉ミルクに工業用ヒ素が混入し、被害が拡大。森永乳業と被害者団体、国の3者は74年に救済団体「ひかり協会」(大阪)を設立し、森永乳業の負担で被害者に手当を支給している。
訴状などによると、54年生まれの女性は1歳の頃に粉ミルクを飲んで脳性まひを発症。また首や手足の痛みとしびれに悩まされ40歳の時に「頸椎症性脊髄症」と診断され、2004年に障害等級1級と認定された。協会から月額約7万円の手当を受給しているが、森永乳業から直接の補償は受けておらず、救済が不十分だと主張している。
森永乳業側は、救済事業は協会を通じてしかできないと反論。請求棄却を求めていた。
(共同)

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