江戸期創業の生活雑貨会社「中川政七商店」

江戸時代中期に当たる1716年創業の生活雑貨製造販売会社「中川政七商店」。初代中屋喜兵衛が現在の奈良県で、武士の礼装や僧侶の法衣に使われていた麻織物「奈良晒」の商いを始めたのが始まり。「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げ、ものづくり企業の経営再生を支援している。(共同通信=浜谷栄彦記者)
300年を超える社史は波瀾万丈だ。明治維新で武士階級が消滅し奈良晒の需要が激減すると、風呂上がりの汗取りや産着を開発して切り抜けた。ただ麻織物産業の衰退は続き、明治末期に廃業寸前まで追い込まれる。
大正元年の1912年、10代当主の中川政七が奈良晒の自社工場を建て、それまでの問屋から製造卸に転換し事業を再建する。25年パリ万博に手織りの麻ハンカチを出展し、高く評価された。昭和に入ると、生産拠点を中国や韓国に移転。茶道具業界にも参入した。
パリ万博から100年の今年、大阪・関西万博で漆の精巧な装飾を施した万博公式キャラクター「ミャクミャク」を販売した。広報担当者は「工芸のすごさ、面白さを知ってほしい」と話す。
(共同)