鉛が金へ「錬金術」実現?



【ジュネーブ共同】中世の錬金術師が追い求めた夢がついに実現か―。スイス・フランス国境にある欧州合同原子核研究所(CERN)の研究チームが「鉛が金に変わる」事象を確認した。鉛の原子核同士が高速で衝突する実験の中で、金の原子核が生じたことを観測した。ただ質量は極めて小さく、一瞬で消滅してしまうといい、今のところ「夢は夢のまま」のようだ。研究成果は5月、米物理学誌に発表された。
研究チームが着目したのは、鉛の原子核同士が直接触れ合わない「ニアミス衝突」。鉛の原子核が光速に近づくと周囲に強力な電磁場が生じ、これらが干渉し合うことで陽子や中性子を引き剥がすよう作用するという。
82個の陽子を持つ鉛から陽子を3個取り除けば、79個の陽子を持つ金になる。研究チームは鉛のニアミス衝突を計測し、最大で毎秒8万9千個の金の原子核が生じていることを突き止めた。
ただ、2015〜18年に行われた主な4回の実験で生成された金の量は29ピコグラム(ピコは1兆分の1)。その上、金はすぐに他の粒子に分裂してしまうという。
(共同)

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