１９８６年の福井中３殺害事件で服役した前川彰司さん（６０）に、名古屋高裁金沢支部が１８日、再審判決を言い渡す。前川さんは一度、再審開始が認められたが、その後取り消され、２度目の再審請求で昨年秋、裁判やり直しが決まった。今春、再審公判が開かれており、無罪が確実視される。１度目の再審請求審の元担当裁判官が報道機関の取材に初めて応じ「長い時間がかかった。申し訳なく思う」と語った。
一審は無罪だったが、二審で逆転有罪になり、最高裁で確定した。前川さんは出所後、金沢支部に再審請求。元担当裁判官は「前川さんと犯人とを結び付ける客観的事実は一切存在しない」とする１１年の再審開始決定に携わった。しかし、検察が異議を申し立て、決定は取り消された。
金沢支部の別の裁判官たちが昨年、再び再審開始決定を出した。事件後に前川さんを迎えに行ったとされる知人が「呼び出される前、テレビ番組のあるシーンを見た」としていたが、実際は当日放送されていなかった。検察は一審途中、これに気づきながら、隠し続けていたことも判明した。
（共同）