南海トラフ減災へ共同研究

国内の広範囲で大きな被害が懸念される南海トラフ地震を巡り、京都大の梅野健教授(通信工学)の研究グループと愛知県蒲郡市は14日までに、地震の「前兆現象」を捉えることで減災を目指す共同研究を始めた。将来的にはリアルタイムの警報システムの構築を目指す。梅野教授のチームは既にJR東海とも同様の研究をスタートさせており、自治体との連携も目指す。
梅野教授が着目したのは、地震直前に断層面がゆっくりすべりだす「プレスリップ(前兆すべり)」と呼ばれる現象。長らく東海地震の直前に起こるとして注目されていたが、東日本大震災後の2013年に、中央防災会議の調査部会は「前兆すべりを捉える発生予測は、一般的に困難」との報告をまとめていた。
梅野教授は通信工学の手法を取り入れ、多数の地点で同時刻に観測された地殻変動データを解析することで、プレスリップが検出できると説明。国際学会などで24年に発表した。東日本大震災では、地震発生直前の2時間で、最大1センチ弱の変動が確認できたとした。震央に近いほど明らかな変動がみられたという。
(共同)