ロシアに「国家イデオロギー」を

【モスクワ共同】ロシアのプーチン大統領と近い著名な国際政治学者セルゲイ・カラガノフ氏(72)が今月、ロシアには国家を導くイデオロギーが必要だと提唱する論文「生きたロシアの理念と夢」を発表した。ロシアを「アジア型帝国」と位置づけ、理想的な政体は「独裁政治の要素を含むリーダーシップ民主主義」だと主張。保守派の重鎮が展開する思想に注目が集まっている。
同氏はプーチン氏が毎年参加する討論フォーラム「ワルダイ会議」の創設者の一人。ウクライナ侵攻開始後の2023年には北大西洋条約機構(NATO)加盟国への戦術核兵器使用を提案する論文を発表し、国内外に波紋を広げた。
同氏は今回、政府系シンクタンクのホームページなどで論文を発表。冒頭でロシア人を「神聖な民族」と評し、その使命は国家主権や世界の平和を守ることだと訴えた。
ロシアには国家が支持し、根付かせるイデオロギーが必要で、教科書や芸術などを介して浸透させることが肝要と強調。「イデオロギーなしには衰退は不可避で、民族や国家の退廃を招く」と結論づけた。
(共同)