古代中国製、紀元前後の鏡と判明

国内最大の蛇行剣などが出土した奈良市の富雄丸山古墳(4世紀後半、円墳)から見つかった銅鏡3枚のうち1枚が、前漢―新の時代に中国で製作された大型の「き龍文鏡」(紀元前1世紀末〜後1世紀初頭)と判明し、奈良市教育委員会などが30日、発表した。直径19・1センチと国内で確認されたき龍文鏡40枚のうち最大。製作から副葬までに最大約400年が経過した可能性がある。
市教委によると、逆S字形の文様が特徴で龍や虎も表現されている。重さ844グラム。大型のき龍文鏡はウズベキスタンやロシア南西部でも出土。市教委は「古代ユーラシアで広域交流がなされたことを示す」と説明した。
残る2枚は後漢代の「画像鏡」(2世紀末〜3世紀前半)と、魏代の「三角縁神獣鏡」(3世紀中ごろ)。これまでの調査で出土した盾形銅鏡(4世紀後半)を含め、異なる時代の鏡が副葬されていたことになり、市教委は「複雑な流通過程があったのではないか。鏡の製作や流通、保有の実態を研究する上で重要」とした。
(共同)