マウス「精子のもと」宇宙保存

 国際宇宙ステーションで半年間凍結保存した「精子のもと」を使って誕生したマウス(篠原隆司教授提供)
 国際宇宙ステーションで半年間凍結保存した「精子のもと」を使って誕生したマウス(篠原隆司教授提供)


国際宇宙ステーションで半年間凍結保存したマウスの「精子のもと」から自然交配で子を作ることに成功したと、京都大篠原隆司教授(生殖生物学)らの研究チームが14日付の米科学誌に発表した。誕生した子に異常はなく、遺伝子の働きも正常だった。多くの人が宇宙で長期滞在する時代を見据え、宇宙環境が生殖細胞に及ぼす影響の解明につながるとしている。
宇宙で飼育された動物には精子の異常や減少が生じることが知られている。さまざまな要因があると考えられているが、メカニズムには未解明な点が多い。
チームは今回、細胞単位での解析を試みた。マウスの精子のもとである「精子幹細胞」を使用。凍結後、22年7月にステーションへと打ち上げ、マイナス80度で保存した。比較のため、地上で保存したものも用意した。
約半年後、宇宙から帰還した精子幹細胞精子幹細胞を不妊マウスの精巣へ移植し、雄8匹をそれぞれ雌と交配させた。3匹から計8匹の正常な子が誕生。地上保存と比べても出産回数や子の数などに大きな違いはなく、子には遺伝子の異常もみられなかった。
(共同)

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