雇調金の不正受給1000億円超

新型コロナウイルス禍を契機に、失業を防ぐ目的で2020年4月〜23年3月に特例的に拡充した雇用調整助成金(雇調金)について、企業などの不正受給が、今年6月末時点で4280件、計約1044億円に上ることが27日、厚生労働省の集計で分かった。厚労省の担当者は「申請数が膨大だった上、迅速に支給することを優先し、手続きを簡素化したことが影響した可能性がある」と述べた。
厚労省が都道府県労働局を通じて調査し、返還を求めている。不正受給のうち、これまでに延滞金などを含めた約804億円は回収した。不正の1件当たりの最高額は東京都の企業の約49億円で返還済み。
雇調金は、企業が従業員に払う休業手当の一部を国が補填する制度。コロナ禍で拡充した雇調金の支給決定額は約6兆円と巨額になった。支給額と不正受給額には、パートやアルバイトら雇用保険未加入者に同様に配られた「緊急雇用安定助成金」も一部含む。
都道府県別に不正受給4280件の内訳をみると、愛知の574件が最多。次いで東京が532件、大阪が491件だった。
(共同)