マーナの手ぬらさず生地まで畳める傘が人気
閉じるだけのワンタッチで生地まで畳めるマーナ(東京)の傘「Shupatto(シュパット) アンブレラ」が好評だ。全体をまとめるバンド要らずで手がぬれない簡便さが受けて今年1〜9月の出荷本数が昨年同期の約1・6倍に増えた。開発したマーナの谷口諒太(たにぐち・りょうた)さんに商品の狙いを聞いた(共同通信=浜谷栄彦記者)
傘の中心から生地の端までを支える「親骨」の長さが58センチの商品は販売価格6380円。スライダーを動かして傘を閉じると、連動してらせん状に生地を巻き込む構造。
製作のきっかけは2018年に居酒屋で上司が発した一言だった。「手をぬらさずに、ぎゅっと閉じたら良いのにね」。雨の日に百貨店を訪れ、客が傘をポリ袋にしまう作業で出入り口が混雑する光景を見て改善を思い立ったという。
開発は難航し、5年を費やした。当初の試作品は閉じても傘が太く「やぼったく見えた」。親骨が内側に曲がるよう工夫し、スリムな輪郭にした。2023年5月、ようやく発売にこぎ着けた。
デザイン系の専門学校を卒業後、自動車や農業機具のメーカーで働いた。「生活者に近い所」で仕事がしたくて15年に生活雑貨を手がけるマーナに移籍した。
「美しさに機能性が伴ってこそデザインだ」と信じ、使いやすさにこだわる。アイデアを生むこつは「人が道具を使う空間に身を置き、観察することに尽きます」。兵庫県出身、40歳。(価格や年齢は2025年10月時点)
(共同)












