津波想定、実践的に 1万人が防災
高さ10メートル超の津波を想定した国土交通省と県合同の「大規模津波・地震防災総合訓練」がひたちなか市の茨城港常陸那珂港区を主会場に154機関、約1万人が参加して行われた。港内の障害物の除去や海上漂流者の救助など、東日本大震災の教訓を踏まえ、より実践的な訓練とした。笠間市でもけが人の救護を中心に県が防災訓練を実施、ひたちなか市からけが人が搬送された。
訓練は午前9時18分、同市で震度6弱の地震が発生し、23分後に高さ10・7メートルの津波が襲った、と想定。航空自衛隊や海上保安庁、県警航空隊などが空と海から被災状況を確認した。
港内に沈んだコンテナを引き揚げ、海から救援物資を運ぶ航路を確保したり、海に流された人を巡視艇と水上バイクで救助、堤防に残された人をヘリコプターで救出した。
また、けが人をヘリコプターで笠間市に設置された広域医療搬送拠点(SCU)へ搬送したり、海上経由で届けられた救援物資を被災地に輸送する訓練なども実施された。
視察した太田昭宏国土交通相は「海上と陸上との連携を取る訓練が具体的な事例に沿って行われ、モデルになる非常に重要な訓練ができた」と語った。
笠間市でも震度6強の地震を想定。埼玉県防災ヘリによる災害派遣医療チーム(DMAT)の投入や県立中央病院でトリアージ(傷病者選別)などが行われたほか、避難行動要支援者を避難所から福祉施設に搬送、笠間稲荷神社の観光客を避難誘導した。