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南三陸町語り部 阿部博之さん講演「まず水確保、備蓄も大事」

震災当時を振り返る宮城県南三陸町の阿部博之さん=水戸市千波町
震災当時を振り返る宮城県南三陸町の阿部博之さん=水戸市千波町


東日本大震災から3年を迎えるのを前に、防災をテーマにしたフェスティバル(主催・県社会福祉協議会)が11日、水戸市千波町の県総合福祉会館で開かれた。震災の語り部として活動する宮城県南三陸町の阿部博之さん(55)が講演し、「次の震災で絶対に同じ過ちを繰り返さないこと。震災を風化させず、次に備えて」と強調した。

同町の山間部、入谷地区で農業を営む阿部さんは震災当時、消防団員として救助活動に当たった。津波で警察や消防、役場の機能が失われる中、「組織として動けたのは消防団だけ。全て自分たちの判断で動くしかなかった」と振り返った。

連絡手段が断たれ、身近な人たちの安否確認が取れないもどかしさを味わったと回顧。町民を避難させる最中に、小さい子どもの遺体を見つけたエピソードを挙げ、「まだ見つかっていない人、葬式を挙げていない人も大勢いる。その人にとっては3・11以来、何も変わっていないのが現状」と話した。

それでも町民たちは歩みを進めている、と阿部さんは力を込め、「大災害で自分の命が助かったら、まずは水の確保。備蓄も大事だし、井戸や湧水など自然の水がどこにあるか知っておくといい。避難所でのトイレも問題で、どう備えるかも大事」とアドバイスした。

その上で、阿部さんは「水やトイレ、食料の情報などをきちんと共有し合えるコミュニティーの在り方をもう一度再確認するために、この震災はあったのかなと思わざるをえない」と締めくくった。

このほか、北茨城市の大津地区で炊き出しボランティアなどに奔走した同市の久保田三枝子さんも登壇。当時を振り返り「地域のつながりが震災前より強くなってきた。風化させず後世に伝えることが大きな役割」と述べた。

フェスティバルでは、身近な材料でできる紙食器や明かり作り、緊急時の応急手当ての実演、起震車・はしご車の搭乗など、体験ブースも設けられた。



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