陸前高田の釘子さん避難所の運営体験説明
東日本大震災の発生直後に、岩手県陸前高田市で避難所を立ち上げ、運営した釘子(くぎこ)明さん(55)を講師に招いた講演会「災害に強い地域づくり」(いばらきコープ主催)が3日、水戸市千波町の県総合福祉会館で開かれ、県内の社会福祉協議会関係者などが災害への心構えを学んだ。
宮城県気仙沼市内のホテルに勤務していたという釘子さんは、陸前高田市内の病院に通院していた際に震災に遭遇した。母親を伴って避難した同市立第一中で避難所を立ち上げ、業務部門の責任者を務めた。
講演で、釘子さんは避難所での組織づくりや施設運用の方法などの体験を説明。飲料水は十分な量を確保できず、トイレは校庭に穴を掘って作ったと当時を振り返りながら「避難所で課題になるのは『水・食料・トイレ』の3点」と指摘した。
また、当初は子どもや高齢者への食料配布は別室で行うなど、無用なトラブルが発生しないよう配慮したと強調した。
こうした経験を踏まえ、釘子さんは「災害に遭った場合、行政の人が助けてくれるとは限らない。避難所を立ち上げるのは皆さん自身になる。(行政に)頼りきっていないか、もう一度考えてほしい」と、自主防災意識の大切さを訴えた。
(武藤秀明)