子を守り満州引き揚げ 101歳・大久保さん、体験語る
中国東北部(旧満州)で終戦を迎え、内務官僚の夫と子どもとともに、家族4人で引き揚げてきた経験を持つ水戸市東原3丁目の大久保あい子さん(101)が5日、同市赤塚1丁目の市福祉ボランティア会館で開かれた「茨城の戦争展」で、自らの体験を語った。
大久保さんは同市内で生まれ育ち、1934年に内務省の土木建設技官だった夫と結婚。38年に旧満州国の新京(現・長春)に移り住み、ハルピンなどで暮らした。
営口で終戦を迎え、立ち退き命令が出されたため、20キロ先の大石橋まで徒歩で向かった。「大変な行程で子どもを捨てる人もいた」
貨車に乗せられ、どこまでも北へ連れて行かれそうになり、逃げ出したこともあった。女性の身では危険が多く、出刃包丁で髪を短く切った。
引き揚げ船で日本に戻ってきたのは46年6月。「ほっとした。子どもたちを生かそうと思ったから生きて帰られたのだと思う」と、当時を振り返った。
同展は水戸西平和の会などが主催した。大久保さんは家庭倫理研究所の講師などを務めている。(武藤秀明)