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幕末の諸生派悼む 怒りや悲しみ刻んだ碑 文化財に

慷慨淋漓の碑の台石(水戸市教委提供)
慷慨淋漓の碑の台石(水戸市教委提供)
慷慨淋漓の碑の拓本(水戸市教委提供)
慷慨淋漓の碑の拓本(水戸市教委提供)


水戸市は11日までに、同市元山町の神應寺(奥田俊亮住職)所有の「慷慨淋漓(こうがいりんり)の碑拓本附台石(ひたくほんつけたりだいいし)」を市指定文化財に加えた。拓本は、幕末の水戸藩の内乱で天狗党に敗れた諸生派の人たちの死を悼む内容で、市文化財保護審議会の宮田正彦会長は「諸生派に関する文化財は非常に少なく貴重だ」と説明。市指定文化財は計98件となる。


慷慨淋漓の碑は、1884年に諸生派の親族や知人らが建立したとされる。碑は1945年の水戸空襲で破損したが、碑文を墨で写し取った拓本と碑の土台に当たる台石が残った。

市教委文化課によると、拓本は縦390センチ、横184センチで軸装されている。「慷慨淋漓」の文字は、会津藩の第9代藩主・松平容保の書で、「諸生派の怒りや悲しみを表している」(同課)という。

碑文は、会津藩の漢文学者で東京大教授を務めた南摩(なんま)綱紀が作成し、水戸藩の画家、松平雪江が清書した。同課によると、「何を以て主恩に報ぜん、唯だ一死あるのみ」の一文は、諸生派が徳川家の恩に報いるために命をささげて戦った気持ちを示している。 (小野寺晋平)



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