次の記事:大井川知事「記憶一切ない」

映画「サクラ花」、6月から撮影 特攻機「桜花」題材に

「戦後70年の今年は重要な年」と話す松村克弥監督(右から2人目)ら=県庁
「戦後70年の今年は重要な年」と話す松村克弥監督(右から2人目)ら=県庁


太平洋戦争後期、鹿嶋市・神栖市の神之池(ごうのいけ)海軍航空隊(神雷(じんらい)部隊)で操縦訓練が行われていた特攻機「桜花(おうか)」を題材にした映画の撮影が6月から、県内で始まる。9月の公開を目指す。メガホンを取るのは、五浦(北茨城市)での岡倉天心の活躍を描いた映画「天心」で知られる松村克弥監督(51)。6日、県庁で記者会見した松村監督は、戦後70年の節目を意識しながら「機内で繰り広げられる人間ドラマを撮りたい。平和が続いてほしいというメッセージを込めた」と意気込みを語った。

映画は「サクラ花(ばな)〜桜花最後の特攻〜」。終戦直前、鹿児島県の鹿屋基地から沖縄の最前線に向けて人間爆弾と呼ばれた特攻機「桜花」を搭載して飛び立った爆撃機の搭乗員8人の悲劇が描かれる。

松村監督は7〜8年前、自身が関わったドキュメンタリー番組で桜花の存在を知ったといい「(物語を通じて)家族や平和への思いを凝縮させたい」と、戦争による若者たちの過酷な運命を描きながら、平和が揺らぎかねない現代社会への警鐘を鳴らしたいという。

脚本を担当したプロデューサーの亀和夫さんは「私の父は海軍の軍人だった。晩年『戦争はいかん。理屈じゃないぞ、人を変えてしまう』と言っていたのがずっと心に引っ掛かっている」とし、「戦争の事実、平和の尊さを考えなければならない。子どもたちが平和に過ごせるよう問い掛けたい」と強調。物語は、桜花の搭乗員だった福島県に住む男性の体験を参考に構成した。

渡辺裕之さんなど県内出身俳優が出演し、役所広司さんがナレーターを務める。また、林家三平さんが出演し、母海老名香葉子さん、姉泰葉さんが主題歌を担当する。

撮影は鹿嶋、神栖、阿見の各市町などほぼ全てのシーンを県内で行う。完成後は県内各地で試写会や上映会を開く予定という。

桜花は全長約6メートル、両翼を含めた全幅約5メートルの小型機。先端に1トン前後の爆弾を積み、中央部に座席、後部に推進用のロケットを搭載しているものもあった。一式陸上攻撃機に搭載して出撃して敵艦などの上空で放たれ、滑空して敵艦に体当たりする。着陸を想定せず、車輪は付いていなかった。神之池基地での訓練後、神雷部隊は1945年始めには出撃に備えて鹿屋基地に移った。桜花搭乗員を含め部隊全体で800人以上が戦死したとされる。(安ケ平絵梨)

最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース