県戦没者追悼式が27日、水戸市千波町の県民文化センターで開かれ、各市町村の遺族代表や橋本昌知事、県議ら約1200人が参列した。黙とうと献花で戦没者に哀悼の意をささげ、平和を祈った。

遺族代表の豊島寛一さん(70)=東海村=は生後2カ月の時、父・保さんがフィリピン・ルソン島で戦死。その後、心労で病に倒れた母も5歳の時に亡くした。「多くの人に励まされ、つらく悲しい境遇の中を耐えて生きてきた。遺族に戦争の風化はない。二度と私たちのような遺族を出さないために、平和主義の理念をかみしめていただきたい」と述べた。

橋本知事は、東日本大震災後、急速に人口減少が進む中で地域の活力をどう維持していくかを課題に挙げ、「戦没者が愛した郷土茨城のなお一層の発展を目指し、全力で取り組んでいく」と式辞を述べた。

県遺族連合会の狩野安理事長は、戦没者の妻の平均年齢が95歳、遺児が75歳と高齢化が進む現状に触れた上で「平和の尊さと戦争の悲惨さを子や孫、ひ孫の世代に語り継いでいく」と追悼の辞を述べた。

その後、市町村の遺族代表や、戦没者のひ孫にあたる中高生が青少年代表として献花した。県によると、本県関係の戦没者は、戦災による死者を含め5万8102人に上る。(戸島大樹)