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独自表現追求 画家2人 熊谷守一と朝井閑右衛門

立体的な朝井閑右衛門の「薔薇(嘉靖青花唐子紋中壺)」(左)など約90点の作品が並ぶ企画展=笠間市笠間
立体的な朝井閑右衛門の「薔薇(嘉靖青花唐子紋中壺)」(左)など約90点の作品が並ぶ企画展=笠間市笠間


独自の表現を確立した2人の画家の作品を紹介する企画展「孤高の画家 熊谷守一(もりかず)と朝井閑(かん)右衛門(えもん)」(茨城新聞社など後援)が1日、笠間市笠間の笠間日動美術館で開幕した。守一(1880〜1977年)の簡略化された絵、閑右衛門(1901〜83年)の厚塗りの作品が並び、それぞれの画風を肌で感じられる展示となっている。


守一は岐阜県生まれ。東京美術学校(現東京芸術大)を首席で卒業したが、家庭の事情で貧困生活を強いられ、制作活動は停滞した。それでも還暦前から本格的に始めた日本画をきっかけに、平面的で簡素な表現の「守一様式」を完成させた。

閑右衛門は大阪府生まれ。30代で、文部省美術展覧会の文部大臣賞を受賞するなど第一線で活躍した。生活は世間と距離を置き、本格的な個展も開催せず、創作に没頭。題材を徹底して追い求め、試行を繰り返す中で、絵の具を厚塗りした色彩豊かな「閑右衛門様式」を確立した。

企画展では、2人の作品合わせて約90点を展示。このうち、守一の「金峯(きんぷ)山」は、ひと山ごとに単色で描くなど、色の違いで輪郭が表され、簡略化された風景が想像を促す。閑右衛門の「薔薇(ばら)(嘉靖(かせい)青花(せいか)唐子紋(からこもん)中壺(ちゅうこ))」は亡くなる5日前に仕上がった絶筆で、塗り重ねた絵の具の厚みによる陰影がはっきりと分かる。

森智志主任学芸員は「2人は時代の画風に流されることなく独自の表現を追求した。一方は平面的、一方は立体的な作品で、その違いも面白い」と話す。

1日は開幕式典が開かれ、長谷川徳七館長をはじめ、県や市、美術関係者ら約40人が出席し、テープカットに続いて鑑賞した。

同展は12月6日まで。月曜休館(10月12日、11月23日は開館し翌日休館)。問い合わせは同館(電)0296(72)2160

(今井俊太郎)

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