台風9号猛威 大雨、強風 県内大荒れ
台風9号が本県を縦断し、県内は22日、大雨と強風に見舞われた。県防災・危機管理課のまとめなどによると、同日午後11時現在、強風の影響とみられるけがで17人が救急搬送され、県内の鉄道などは運転見合わせが相次いだ。水戸地方気象台によると、大雨、洪水、暴風の各警報が県内ほぼ全域に発令された。県内河川では同日夜、古河市の西仁連川の尾崎橋観測所で氾濫危険水位(2・09メートル)を超え、土浦市の桜川も桜橋観測所で同水位(5・20メートル)を超えた。
取手署によると、22日午後1時25分ごろ、守谷市松ケ丘のショッピングセンター「ジョイフル本田守谷店」で、屋外の樹木を扱うコーナーのレジに設置されていた木製屋根が強風で飛ばされ、同市、同店パート女性(47)に当たって骨盤などを折る重傷。県によると、茨城町の男性(79)が屋根から転落して腰を強打、潮来市では男性(43)が足場から転落、稲敷市で男性(48)の車が横転、土浦市の女性(85)は塀に頭をぶつけたほか、龍ケ崎でも男女3人が転倒するなど、それぞれけがを負った。
JR水戸支社によると、常磐線は早朝を除いて特急を終日運休とし、普通列車も一部運行を見合わせた。水戸線、水郡線は午後3時から終日、運転を見合わせた。県などによると、JR鹿島線、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線、真岡鉄道真岡線、関東鉄道竜ケ崎線なども、午後から夕方にかけて同日の運転見合わせを決めた。
茨城空港は、午後0時20分着予定だった上海発春秋航空便の着陸地が中部空港に変更された。23日に同空港から茨城空港行きの臨時便を出す予定。スカイマーク国内線は出発便に一部遅れが出た。茨城港大洗港区と苫小牧港を結ぶ商船三井フェリーは22〜24日の計10便を欠航とした。
東京電力によると、22日午前から各地で断続的に停電が発生し、一時約2万世帯が停電。午後10時現在で7900世帯が停電している。
倒木や冠水、陥没などによる道路の通行止めも相次いだ。午後0時40分ごろ、鉾田市徳宿の県道で杉林の木1本が倒れ、片側1車線をふさいだ。近くの女性(75)は「ドーンという音がして事故かと思った。怖かった」と話した。同市職員らが撤去作業に当たった。水戸市米沢町では市道(通称さくら通り)で並木の桜が倒れ、午後3時15分ごろから約1時間半、通行止めとなった。
県教委によると、県立古河二高福祉科は22日、2学期の始業式の予定だったが臨時休校とし、23日に延期した。
JR水戸駅では利用者がニュースを流すモニターを見つめた。日立市の50歳代の会社員女性は「仕事を早く切り上げたが、列車が動かず帰れない」と諦めた表情を見せた。