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水戸の「ヒカリモ」 黄金色の輝き守れ 震災後に発光減退

ヒカリモが生息する洞窟を調査する県立水戸二高の生徒たち=水戸市備前町、鹿嶋栄寿撮影
ヒカリモが生息する洞窟を調査する県立水戸二高の生徒たち=水戸市備前町、鹿嶋栄寿撮影
水戸市備前町の洞窟内で2002年に確認されたヒカリモ(市提供)
水戸市備前町の洞窟内で2002年に確認されたヒカリモ(市提供)


水戸市指定の天然記念物「ヒカリモ」を守ろうと、県立水戸二高生が研究や調査活動を続けている。同市備前町の洞窟内に確認されている国内最大規模のヒカリモは、東日本大震災以降、発光現象が少ない状況にある。4年間にわたり洞窟内の環境や発光する条件の分析、培養試験などに取り組み、水面を黄金色に染めた震災前の光景の復活を目指している。


ヒカリモは体長0・003ミリほどの微小な藻類で、洞窟内の水たまりや山陰の池など暗い場所に繁殖する。光合成を行う際に光を反射することで、水面に金粉をまいたような黄金色の輝きを見せるのが特徴。水戸市では備前町のJR常磐線沿いの洞窟内で1946年に大規模な生息が確認された。53年に市が第1号の天然記念物に指定した。

洞窟は水戸藩2代藩主の徳川光圀が笠原水道を整備する際の採石場跡で、現在は湧き水がたまっている。市歴史文化財課によると、震災前まではこの水面を覆うようにヒカリモが繁殖し輝きを放っていたといい、「生息地としては国内屈指の規模」を誇っていた。

ただ、震災以降は発光現象が少ない状態が続いている。原因は現時点で分かっていない。このため、市は発光が抑えられている原因を究明しようと、2015年度から同校と合同調査を開始。茨城生物の会の指導を受けながら、月1回、現地調査を重ねている。

線路に隣接する洞窟は立ち入りが制限されており、一般への周知は難しい。調査の中で培養試験も行い、将来的な移設検討も進めている。

今月19日には、同校の生徒7人が洞窟内外の照度測定のほか、気温、水温、水質の水素イオン濃度などを調べた。2年生の森田メリイさん(17)は「ヒカリモが存在しても、発光する場合としない場合の原因はまだ分かっていない。データを積み上げ、究明の足掛かりにしたい」と意気込む。

課題は調査の継続とデータの引き継ぎだ。15年度以降、調査は同校生物同好会が担ってきた。しかし、3年生の引退後、今年度の同会メンバーは森田さんただ1人。科学部と統合し、調査のサポートは部員から受けられるものの、来年度以降、調査の中心となる担い手は“未定”だ。

森田さんは9月から、洞窟で採取したヒカリモを容器内で管理し、繁殖や発光を促す調査も進める計画。こうした研究データも含め、「後輩に資料を渡せないと、先輩たちがこれまで積み重ねてきた調査研究が途絶えてしまう」と危機感を抱く。

今秋には同校主催の「環境科学フォーラム」で、県内の小中高生ら向けに市と共同発表を行う。約4年間に及ぶ調査の集大成を披露する予定だ。森田さんは「多くの生徒が納得する結果を示すことができれば、後輩たちの興味を引き、調査参加にもつながる」と期待を込める。 (前島智仁)



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