ピアノの世界的名器「ベーゼンドルファー」の試弾会が29日まで、筑西市海老ケ島の明野公民館で開かれている。試弾会は、同館が持つ貴重なグランドピアノを市民に広く利用してもらおうと、同市合併前から続けられている。利用者からは音楽への熱い情熱が伝わる。同ピアノが四半世紀にわたり、地域の音楽文化を支えてきたことが垣間見えてくる。


ベーゼンドルファー(オーストリア製)のピアノは、スタンウェイ(米国製)と二分する世界的な人気を誇る。同館のピアノは、同市出身のオペラ歌手、中丸三千絵さんが1993年、ウィーンの同社で選定したモデル290「インペリアル」。標準モデルのピアノの鍵盤は88鍵なのに対し、より低音域の音を出せるよう97鍵あるのが最大の特長だ。旧明野町が当時1349万円で購入した。

初日の24日、最初に弾いたのは市内でピアノ教室を主宰する谷島広美さん=同市細田。グリム童話の読み聞かせにピアノ曲を組み合わせようと、曲を次々に弾いて試した。「深く味わいのある響きが好き。心に深く入ってくる感じがする」と弾き心地を語った。

続いて、市立関城東小4年の中村明菜さん(10)=同市木戸=がチャイコフスキー作曲「新しいお人形」、ブルグミュラー作曲「25の練習曲」などを弾いた。「鍵盤が軽い。本当のピアノを弾いている気がする」

中村さんは、3歳からピアノを始めた。今は、コンテストの予選突破を目指し練習を続けている。そこでは、ベーゼンドルファーのピアノが使用される。同伴した明菜さんの母、京子さん(42)は「音が軽やか。家のピアノとは違う。良い経験になっている」と話した。

試弾会の時間帯は午前9時〜午後5時。同市在住か、市内で働く人が対象。予約制。問い合わせは同館(電)0296(52)5333。　(冨岡良一)