《支え合う・台風19号水害》道の駅かつら物販再開 復旧作業、農家が協力
台風19号による那珂川増水被害で営業休止していた城里町御前山の「道の駅かつら」が、農家などの協力により復旧が進み、野菜やアユなどの物販部門が19日、仮オープンした。再開を心待ちにしていた客や農家は谷津安男店長(53)に「ずいぶん早い再開だね。良かったね」と笑顔で声を掛け、品定めしていた。食堂の復旧は半月後の見通しとなっている。
店の入り口には被災直後に撮影された写真を掲示している。野菜を置く棚の柱には浸水位置を示す赤いテープが貼られている。駐車場では泥を水で流す作業が続く。
この日はハクサイ、ショウガ、ダイコン、ナス、キュウリ、ニラ、カボチャなどの野菜が店頭に並んだ。通常の品ぞろえの半分程度という。
サトイモ、アオトウガラシを出荷した同町の農家、加藤木紀子さん(67)は「被害直後はこれからどうなるのかと思っていた。品物がそろってよかった」とうれしそうに話していた。
谷津店長は13日午前0時ごろ、店内への浸水を危惧し、1人で同駅を見回り、商品を高い場所に移動した。同日午前2時ごろ、巡視に来た上遠野修町長から避難を促され、現金、通帳、パソコンなどを抱え店を脱出。安全な場所から状況を見守っていたところ、午前5時ごろに水かさは最大となり、目測で床上約1メートルになったという。
谷津店長は「予想よりも早く川の水が入ってきた。1986年の那珂川洪水をはるかにしのぐ水の量だった。こんな経験は初めて」と振り返った。
電話やインターネット回線はまだ不通。配電盤が水に漬かり電力不足も続く。被災後は農家が毎日10〜15人出て掃除など復旧作業に当たった。
谷津店長は「農家の協力に感謝したい」と述べ、「食堂はまだ営業できない。消毒を何度も重ねていく。まだ半月程度かかる見通しだ。通常営業に戻すのが私の使命だ」と力強く語っていた。(清水英彦、沢畑浩二)