県北活性化へ小型モーター開発目指す

ものづくり企業が集積する日立市を中心とした県北地域の活性化に向け、宇宙開発ビジネスを視野に入れた産学官連携の「電動力応用で強い県北産業の復活協議会」が4日、発足した。日立製作所の創業者・小平浪平が開発した5馬力モーターを県北産業の原点と位置付け、茨城大と市内中小企業が持つ電動機や材料利用などの高度な技術力を生かし、先進的小型モーターの開発を目指す。
同協議会は、県北地域の若手経営者で組織する共同受注体「GLIT(グリット)」のメンバーや地元中小企業経営者、県、市、同大などで構成する。
目指すのは、幅広い用途がある産業用モーターの小型軽量化で、現状ある同パワーのモーターに比べ、直径が5分の1、長さが8分の1、重さが75分の1の「手のひらサイズ」への縮小化を目標とする。
小型軽量化により、宇宙開発ビジネスにつなげる青写真も描く。宇宙での過酷な環境にも適応できる技術開発も見据えながら、月面インフラ整備への活用を視野に入れる。「ものづくりの日立」を中心に新たなモーター開発に取り組むことで、県北地域の振興を図りたい考えだ。
協議会は、同大研究・産学官連携機構の相馬憲一特命教授が中心となって4月から準備を進め、県や市、企業などに働き掛けてメンバーを集めてきた。
今後は小型軽量モーターの実現に向け、同大などが基礎研究、参加企業がそれぞれの得意分野を生かした技術開発を進めていく。並行して国の補助金獲得や市場開拓に取り組む。
発足会は同日、同市西成沢町2丁目の日立地区産業支援センターで開かれ、相馬特命教授のほか、GLITのメンバー、地元中小企業経営者、県技術革新課や市商工振興課の担当者など計30人が参加した。相馬特命教授は「メンバー一人一人が(新モーター開発を)自らの課題として取り組んでいくことが重要だ」と述べた。(湯浅奈実)