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五輪会場「カシマ」 サッカーの街 飛躍へ

県立カシマサッカースタジアム上空から見た日の出と鹿嶋の街=鹿嶋市神向寺(小型無人機から撮影した露光時間の違う3枚の写真を合成、撮影協力・茨城大航空技術研究会)
県立カシマサッカースタジアム上空から見た日の出と鹿嶋の街=鹿嶋市神向寺(小型無人機から撮影した露光時間の違う3枚の写真を合成、撮影協力・茨城大航空技術研究会)


東京五輪・パラリンピックが2020年、いよいよ開催される。国内での夏季五輪開催は前回東京大会以来56年ぶり。本県でもJ1鹿島アントラーズがホームとする県立カシマサッカースタジアム(鹿嶋市)がサッカー競技の会場の一つとなる。同スタジアムでの世界規模のサッカー大会開催は02年の日韓ワールドカップ(W杯)以来で、「サッカーの街」に再び世界の一流選手や各国のサポーターたちが集う。同スタジアムで初戦を迎える7月23日まで、1日であと204日となった。

■シンボル
東京五輪のサッカー競技のうち、カシマ開催となるのは、男子の1次リーグ4試合、準々決勝、準決勝各1試合と、女子の1次リーグ2試合、準々決勝、準決勝、3位決定戦各1試合の8日間計11試合。

出場国が出そろっておらず、対戦カードは未定。チケット販売は2次抽選まで行われている。

熱戦の舞台となる同スタジアムは、1993年に日本初の屋根付きサッカー専用スタジアムとして完成。日韓W杯を機に収容人数が1万5千人から4万人規模に改修され、国際試合対応に生まれ変わった。鹿島のホームゲームが行われるほか、昨年の茨城国体でもサッカー会場となった。

東日本大震災で被災し、復旧後は鹿島の選手とサポーター、地域住民が交流するイベント「オープンスタジアム」が毎年実施されるなど、地域の復興のシンボルとなっている。今回、サッカー会場に追加選定されたのも、大震災からの「復興五輪」を掲げる東京五輪の理念に合致したためだ。

■触れ合い
鹿嶋市や周辺地域を「サッカーの街」に育てたのが元ブラジル代表のジーコ氏(現鹿島テクニカルディレクター)を擁して誕生した鹿島アントラーズなら、それを大きく花開かせる転機となったのが日韓W杯だ。

同大会ではカシマで、強豪国のドイツやアルゼンチン、イタリアなどが予選リーグ3試合を行った。バティストゥータ(アルゼンチン)やオリバー・カーン(ドイツ)などスター選手がプレーし、会場は大きな盛り上がりを見せた。

会場外でも各国の熱狂的なサポーターで街がにぎわい、住民らとの触れ合いの輪も生まれた。祝祭ムードに包まれた3日間は今も関係者や地元住民の語り草となっている。

■レガシー
地元鹿嶋市は五輪開催を地域の活性化につなげる絶好の機会と捉え、機運醸成や国内外からの来場者のおもてなしなどに向けた取り組みを本格化させる。

同市の想定では、五輪開催時、市に来訪する観客や関係者は約30万人で、うち約6万人が外国人。

これらの人たちを温かく迎えようと、市民らを中心にフェースペイントや、折り紙とちぎり絵を描いたうちわの配布などに向けた準備が進む。五輪期間中には市内各所でイベントやパブリックビューイングが計画され、JR鹿島神宮駅からスタジアムまでの沿道を花で飾る案もある。

これらはいずれも日韓W杯で実施され、その後も継続されてきた取り組み。W杯の遺産として受け継がれてきた。同市は「W杯以降、市民のまちづくりなどへの参加が活発になった。今回の五輪を通じて、その機運がさらに若い世代に受け継がれてほしい」と期待する。

東京五輪はサッカーの街にさらなる進化をもたらしそうだ。(松下倫、藤崎徹)



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