優美な世界広がる シルクペインティング展 水戸
シルクの生地に優美な世界が広がる「シルクペインティング」。笠間市在住の染色家、大塚ミチ子さん(73)の企画展が、水戸市備前町の常陽史料館で開かれている。会場にはシャガ、クチナシの実、ヤマボウシなど植物をモチーフとした58作品が展示され、訪れた人たちを楽しませている。会期は3月22日まで。
シルクペインティングとはフランス発祥といわれ、日本の友禅染と同じような技法により、染料でシルクに描いていく。下書きや染色など大きく分けて6工程を経て完成する。
大塚さんは日立市出身。女子美術短大造形科・グラフックデザイン教室卒業。1987年、夫の仕事でドイツに1年間滞在した時にシルクペインティングに出合い、その美しさに魅了された。3人の子育てが一段落した44歳の時、独学で制作を始めた。現在、道端でかれんに咲く草花を主なモチーフとし、スカーフやストールなどを制作している。
今展は、地面に落ちていたユリノキの花や貝殻、チョウチョを題材にした6枚一組の大作「ユリノキの花」(160センチ×270センチ)をはじめ、ダリヤの花とマンドリンを描いたタペストリー「歌うダリヤ」などを展示する。「シルクに表現するとき、色合いや形など、生きている花を再現しようと心掛けている」と大塚さんは話す。
また、踊り場天井からつるされた、黄色いチョウチョが舞う12枚のミニストール作品「星の瞳(オオイヌノフグリ)」は、まるで春の訪れを告げるような作品で目を引く。
会場では、大塚さんの制作工程を写真で紹介している。「テクニックノート」を開くと、水滴や食塩を利用した約10種類の異なる模様が見ることができる。
妻と訪れた茨城町、無職、前田昌良さん(73)は「シルクの透明感が美しい」と見入っていた。大塚さんは「色彩の美しさや小さな花を拡大した、植物の面白さを感じてもらえたらうれしい」と話す。
入場無料。開館は午前10時〜午後5時45分。月曜定休。(電)029(228)1781。
(鈴木聡美)