東日本大震災9年 祈りと誓い 北茨城・大津港で黙とう
死者、行方不明者、震災関連死を合わせ2万2167人が犠牲となった東日本大震災は11日、発生から9年を迎えた。午後2時46分の発生時刻には、各地で被災者らが黙とうし、今はいない大切な人に祈りをささげ、復興を誓った。被災地の住宅や道路などインフラ復興事業は最終盤だが、津波や東京電力福島第1原発事故による避難者は依然4万7737人に上る。福島の避難指示解除は進むが、住民の帰還の動きは鈍い。生活再建は道半ばだ。
死者24人、行方不明者1人、震災関連死42人の犠牲者が出た茨城県内でも、各地で祈りがささげられた。
5人が死亡、1人が行方不明の北茨城市では発生時刻にサイレンが鳴り響き、市内の各防災無線で「黙とうを始めます」と放送があった。同市大津町の大津港では、網仕事の手を止めた漁師たちが海に向かって黙とうした。
漁業会社役員の鈴木君伊さん(72)は「大きな被害に立ちすくんだときもあったが、これだけ復興し北茨城のみんなの力はすごい。(大地震が)二度と起きないことを願った」と手を合わせた。
この日恒例の総合防災訓練は新型コロナウイルスの影響で、延期を余儀なくされた。豊田稔市長や市幹部ら22人は正午すぎ、同市大津町の五浦岬公園に立つ展望慰霊塔を訪れ、犠牲者の冥福を祈った。豊田市長は「この群青の海に2万人の命が抱かれている。安らかにお眠りくださいと伝えたい。そして(震災のことを)子孫に語り継いでいかなければいけない」と誓った。
大洗町でも発生時刻に町内の防災行政無線を使い、1分間の黙とうを呼び掛けた。町民はそれぞれの場所で祈りをささげた。(小原瑛平、磯前有花)