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《新型コロナ》茨城県内初の感染確認 日立社員、イタリア滞在中に感染か 容体は安定

県内で初めて新型コロナウイルスの感染者確認を受け、記者会見する大井川和彦知事=17日午後4時38分、県庁、吉田雅宏撮影
県内で初めて新型コロナウイルスの感染者確認を受け、記者会見する大井川和彦知事=17日午後4時38分、県庁、吉田雅宏撮影


茨城県は17日、ひたちなか市の日立製作所水戸事業所に勤務する同市在住の30代男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内での感染確認は初めて。男性は県内の感染症指定医療機関に入院中だが、症状は軽く容体は安定しているという。男性は2月下旬に出張でイタリアを訪れており、県は同国滞在中に感染した可能性が高いとみている。同事業所は、男性が勤務する建屋の全館閉鎖と同じ建屋で働く約千人の自宅待機を決定した。

大井川和彦知事が同日夕に緊急の記者会見を開き発表した。

県によると、男性は2月24〜27日、同事業所の社員2人と共に同国トスカーナ州に出張し、28日に羽田空港に到着、帰宅した。3月2日に帰国後初めて出社して以降、11日までに計7日間出勤した。

この間、5日に37度台の発熱があり、翌6日から3日間は休んで自宅療養したが、12〜15日には再び37度台の発熱や倦怠(けんたい)感の症状が出た。自宅療養中は家族とは別の部屋で過ごしていたという。

家族が16日にひたちなか保健所に相談し、男性は同日中に県内の帰国者・接触者外来を受診。17日に県衛生研究所(水戸市)でPCR検査を実施し、同午後1時ごろ陽性が確認された。せきや頭痛などがあり入院中だが、病状は落ち着いているという。

濃厚接触者や帰国後の空港からの移動手段などは調査中。欧州や滞在先イタリアでの流行を踏まえ、男性は帰国後、徒歩で通勤し、マスクを着用。昼食は1人で自席で取るなど、他の社員との近距離接触は避けていたという。

同事業所は県からの要望も踏まえ、17日から男性が働く5階建て建屋を全館閉鎖。この建屋に勤務する約千人については25日までの自宅待機を決めた。

男性は出張先では同国や英国人と接触。一緒に出張した社員2人に症状は出ていないが、自宅待機している。男性と同居の妻と子ども2人も現時点で感染疑いの症状はないという。

県は18日以降、家族や共に出張した社員らのPCR検査を実施する。男性の子どもが通う幼稚園は6日から休園中で、同園関係者への健康観察も行う。

県は同日、県庁で感染症対策本部を開催。県内1例目の発生を受け、県庁内に設けている電話相談窓口を24時間態勢とすることなどを決めた。

大井川知事は「感染拡大に備えて医療体制を万全にしていく。患者の関係者や濃厚接触者を徹底的にフォローし、クラスター化を防ぐことを最優先する」と強調。県民に対しては「(今回の例は)濃厚接触者は限られていると感じている。冷静に対応してほしい」と呼び掛けた。(戸島大樹)

■記者会見一問一答 知事、冷静対応呼び掛け

県内で初めて感染が確認された新型コロナウイルスに関する県の記者会見で、大井川和彦知事との主なやりとりは以下の通り。

-今後の対応は。

医療体制で、さらなる受け入れ体制の強化。さらに重症・軽症患者含めてスムーズに対応するため、優先順位を付けた患者対応などを準備することを指示した。加えて今回の患者の濃厚接触者を徹底的にフォローして、クラスター化を防ぐ。

-県民へメッセージを。

いずれはこういう事態が来ると考えなくてはいけないと思っていたが、県民の皆さまには冷静に対応してほしい。県としてもPCR検査を含め全力で感染拡大を止めたい。

-県内の対策・対応策の再検討は。

医療崩壊が起こるような事態を避けるため、対策むなしく感染が急速に拡大するというような想定も含めて医療体制を万全に備える。そういう意味ではこれまでの対策の延長線上だ。今まで医療機関で必要とされた方へのPCR検査は全数行っている。それを引き続き実施したい。

-受け入れ医療機関の拡大を考えているか。

それもある。ほかにも重症患者を優先して手当てできるような(各病院ごとの)振り分けのスキームを考えるなど、最悪の事態を想定しながら対応していく。

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