《新型コロナ》水戸・日立 図書館再開、歓迎と警戒
新型コロナウイルスの影響で臨時休館していた図書館の再開が県内で相次いだ。日立市と水戸市の市立図書館は1日、約1カ月ぶりに開館。いずれの図書館も利用者の感染が確認された場合に経路や接触者を把握できるよう来館時間と氏名、連絡先の記入を求めた。市民らは待望の再開を喜ぶ一方、利用時間の制限に困惑する高校生や感染への懸念で足早に帰る親子連れもいた。
日立市は、全4館で利用者1人当たりの滞在時間を1時間程度に制限して再開。JR日立駅前の市立記念図書館は、午前9時半の開館と同時に大勢の市民らが詰め掛け、連絡先などを記入するために出入り口に列ができた。
同市会瀬町の坂本武義さん(78)は旅行雑誌6冊を抱え、「待ちに待った再開。旅行の計画を立てて楽しみたい」と笑顔。同市十王町の森本忠興さん(81)は「(利用制限は)安全のためやむを得ない」と理解を示した。息子の亮太君(9)と約25冊を返却に訪れた同市中成沢町の高松美枝さん(49)は「対策は仕方がない。再開してうれしい」と喜んだ。
同館は、学習室の利用者の間隔を空けるために座席を指定する対策を取った。それでも新型コロナに対する警戒感からか、座席には空きが目立った。新学期に向けテスト勉強しに来たという県立日立二高3年の女子生徒(17)は「1時間たってしまった。この後どこで勉強しよう」と困惑の表情を浮かべた。
水戸市は、全6館で午後8時まで開館。同市元吉田町の東部図書館では、窓を開け放して換気したり座席数を間引いて間隔を開けたりして対策した。
近くに住む斎藤香栄さん(36)は幼い長男長女を連れて利用。予約していた絵本6冊を借りたが、「(感染が心配なので)すぐに借りて、すぐに帰りたい」と足早に引き返した。
同市大町の中央図書館は、2階の資料室と読書室の座席を6割ほどに減らした上で開放。来館者数は臨時休館前と変わらず、午後3時半ごろには300人近くになった。予約した本を借りに弟と2人で訪れた近くの小学5年、川瀬亜愛理さん(10)も再開を待ちわびた一人。感染対策を求める張り紙を見て「(ウイルスが)撃退できればいいのに」とつぶやいた。(湯浅奈実、島田真太郎)