新型コロナ対応「ぎりぎりの状態」 茨城県知事、感染者流入を懸念
「耐えている壁がいつ決壊するか。ぎりぎりの状態にある」。大井川和彦茨城県知事は16日午後4時からの緊急記者会見で、茨城県の現状を厳しい表情で語った。首都圏からの感染者流入と、感染拡大による本県の医療崩壊を防ぐため、知事は緊急事態宣言の対象地域に本県を加えるよう政府に訴え始めていた。会見直後、国から宣言対象の全国拡大が伝えられ、状況は一気に変化を見せた。ただ、「全国に拡大された時、人の流れがどうなるか見えない」(知事)と、新たな問題を抱えることになった。
「辛うじて感染者の発生をコントロールして、踏みとどまっている。感染拡大地域からの風圧に一生懸命耐えている状況だ」。3月17日に県内で初めて感染者が確認されてから間もなく1カ月。大井川知事は窮状を説明した。
本県が確認した感染者は123人(16日現在)。わずか1カ月の間に、病院や福祉施設でのクラスター(感染者の集団)が複数発生し、首都圏からの帰省者や都内在勤者などが発端とみられる感染が広がった。
大井川知事が最も懸念するのが緊急事態宣言対象地域からの感染者流入だった。本県の商業施設や遊興施設、観光地には最近、東京、埼玉、千葉の各都県ナンバーの車両が目立つようになっていた。
この日の会見でも大井川知事は「短期間で感染を終息させるためには、一気に人の動きを止めるのが賢明」と言い切った。
本県の人口当たり医師数や看護師数は全国低位。「東京と比べものにならないぐらい医療体制が脆弱(ぜいじゃく)」と知事は憂慮する。感染拡大が現状よりハイペースで進めば「あっという間に医療崩壊を起こしかねない」と危惧した。(三次豪)