《新型コロナ》「巣ごもり」特需 盤ゲーム人気急上昇 頭の体操、家族と楽しむ
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響で、自宅で楽しめる「人生ゲーム」などのボードゲームや「ウノ」といったカードゲームの売り上げが急増している。自宅にいる「巣ごもり」時間が長くなってテレビゲームの販売が好調なのと同時に、家族や親子で楽しめる昔ながらのゲームが人気を呼んでいる形だ。茨城県内の書店では売り場を新設するなど、コロナ禍による思わぬ特需となっている。
■売り場新設
書店など県内18店舗を展開するブックエース(水戸市)は4月中旬、ボードゲームやカードゲームのコーナーを11店舗に新設した。これまではつくば市内の1店舗のみに設けていた。新型コロナの流行が拡大するに連れて売り上げが急速に伸び、他店に広げた。
同社の担当者によると、売り場拡張の初週から売り上げは好調で、同市内の店舗では3、4月の月間売り上げが昨年の2倍以上に達したという。来店客からは「家族全員が集まって楽しめるから非常に良い」などと歓迎の声が寄せられ、売り場面積の拡大を数店舗で検討している。担当者は「日々需要が高まっていたが、売り上げは予想をはるかに超えている」と驚く。
■50種類超
同社が運営する川又書店県庁店(水戸市笠原町)は、書籍の陳列棚を改装し、定番のものから海外製のものまで50種類を超えるゲームを並べた。売れ筋はパズルボードゲーム「ウボンゴ」。足を止める客も多く見られる。
最近は孫を持つ高齢者の購入も増えているという。佐々木哲也店長(51)は「学校が休校になり孫と家にいる時間が長くなっている。触れ合いの機会をつくるとともに、脳を鍛える『脳トレ』感覚でゲームに取り組む人が多いのでは」と受け止める。
■教育効果も
ボードゲームやカードゲームについて、識者は子どもの教育に好影響を及ぼすと強調する。
茨城大の生越達(おごせとおる)教授(教育方法学)は「脳の活性化に一役買っている」と分析する。画面越しではなく、直接人と対話しながらゲームをすることで、洞察力や先を読む力が養われ、思考力が向上すると指摘する。
家族と会話しながら楽しめる点に関し、生越教授は「家族は『やる、やらせる』といった縦関係ではなく、双方向に物事を言い合える横関係であることが大切」とした上で、「ボードゲームは頭の体操になるし、家族関係の良好化が見込める。一石二鳥だ」と話した。