《新型コロナ》常磐大・常磐短大 対面式の授業再開 キャンパス活気戻る
新型コロナウイルスの感染拡大で休講とオンライン授業が続いていた水戸市見和の常磐大と常磐短大が8日、約5カ月ぶりに対面式の授業を再開し、学生の声が響くなどキャンパスに活気が戻った。5月下旬から開始したオンライン授業は、自主的に学習を進める学生に好評だった半面、インターネット環境によって学習状況が左右され、学生同士で学び合う機会が減るなど課題も多く、在り方を今後検証する。
再開に当たり大学側は、消毒液配置や校舎の換気徹底など3密回避策に取り組み、学生に新しい生活様式の実践を求めた。
同大総合政策学部の外国法の授業が行われた中講義室は、定員196人を107人に減らし、窓を空け部屋の出入り口を開放した。前後左右を1席ごとに間隔を空けるよう学生の座席を指定した。学生は2〜4年の88人が受講を登録し、全員マスク姿だった。
渡部茂己教授はこの日、連邦制と憲法の関わりなどを講義した。対面式の授業再開について「オンライン授業では顔と名前が一致しにくく、良い回答を提出した学生を把握するのが難しかった。学生も大学に来られることを心待ちにしていたのでは」と述べた。
総合政策学科3年の松島由弥さん(20)は「インターネット環境が整っていないので、オンライン授業は途切れることもあった。自分の耳で聞けるのはありがたい」と再開を喜んだ。法律行政学科3年の浜野拓海さん(21)は「自粛期間は1人の時間が増え、資格の勉強もできた。対面式は集中が必要。オンライン授業は巻き戻して聞き直しできる利点もある」と、これまでの期間を有効に使った様子だった。
久々のキャンパスライフが戻り、学生食堂では笑顔で再会を喜び合う学生の姿も見られた。
同大は校舎出入り口に消毒液を配置、講義室の定期的な換気、学生食堂への間仕切り設置などを実施した。学生には手指消毒とマスク着用をはじめ、近距離での会話抑制、感染流行地域への移動自粛などを求めた。
同大の対面授業は前年度の2月以来。富田敬子学長は「対面授業の再開は4月の段階で決めていた。難しい判断ではあったが、予定通り再開した。学生同士で学び合うことも教育の一環」と再開の経緯を説明した。オンライン授業については「先生も学生も試行錯誤しながら進めてきた。効果を精査し、授業の在り方の土台にしたい」と検証する考えを示した。同大は夏休みを9月中旬の1週間に短縮するなどして、授業時間を確保する。
県内の他大学では、茨城大(水戸市)と筑波大(つくば市)などが、前期を全てオンライン授業にすると決めている。日本ウェルネススポーツ大(利根町)と茨城女子短大(那珂市)は6月1日から、対面授業を再開。茨城キリスト教大(日立市)や県立医療大(阿見町)は、人数や回数を制限するなどして実習の一部を再開した。