避難の態勢強化 大規模災害時に宿泊施設提供 茨城県、ホテル旅館組合と協定
380社が加盟する茨城県ホテル旅館生活衛生同業組合(吉岡昭文理事長)と県は3日、大規模災害の発生時に宿泊施設などを提供する協定を締結した。高齢者や障害者、乳幼児、妊産婦といった災害弱者への配慮や、避難所の“3密”回避が狙い。県によると今後、新型コロナウイルス感染症による軽症者や健康観察者らの災害時受け入れについても、両者で検討していく。
県内に甚大な被害を与えた昨年10月の台風19号など、近年は国内各地で大規模災害が起き、避難の態勢強化が求められている。県によると、2015年9月の常総水害では避難が長期化し、避難先として宿泊施設も活用された。
協定の締結式は同日、水戸市笠原町の県庁で開かれ、県や同組合関係者が出席。吉岡理事長は「困っている人に手を差し伸べるのは当たり前。寝る所、食べる所、お風呂など(生活に必要なものを)完備している」と力強く語った。
大井川和彦知事は「ホテル、旅館を営む方々が(コロナの)直撃を受けている中、協定を結んでいただけることに感謝申し上げる」と述べた。
協定では、施設の借り上げ費用は県負担としている。同組合の加盟380社の宿泊定員は、計3万2千人に上る。
県によると同様の協定は、これまでに大子、土浦、水戸、ひたちなか、鉾田、つくばの6市町と同組合各支部との間、牛久市と4施設との間で結ばれている。