次の記事:大井川知事「記憶一切ない」

《連載:大洗町の課題・町長選を前に》(下) 人口対策

「親子ふれあいセンターきらきら」で工作をする親子=大洗町磯浜町
「親子ふれあいセンターきらきら」で工作をする親子=大洗町磯浜町


就学前の幼児と保護者の交流の場として、2016年に開設された大洗町磯浜町の「親子ふれあいセンターきらきら」。工作活動や講座、親同士の交流機会をつくる「子育てカフェ」など開催している。職員が2人ほど常駐し、育児相談にも応じる。利用者数は毎年2500組ほどで推移している。

2人の子どもと訪れた30代の母親は「先生がいて、他の子とも触れ合える。安心して遊ばせられる」とリラックスした表情で話す。

町は人口減少の抑制や地域の活力を維持しようと、子育て支援に力を入れてきた。今年6月には、新たに妊娠や出産、子育てに関する相談窓口「町子育て世代包括支援センター」も開設した。町独自の制度として、第3子以降の子どもの小学校入学時に最高10万円を支給したり、幼児教育・保育無償化の対象外の世帯に対する保育料軽減策を継続したりしている。

■40年推計9847人
「親世代の人口も出生数も減っている。横断的にいろんな取り組みをしないと人口は増えていかない」。町こども課の担当者は危機感を抱く。

全国的に少子高齢化が進む中、町人口は1989年をピークに減少傾向にある。現在は1万6572人(7月末現在)。出生数に関しては、2017年から100人を切る状態が続き、19年は62人。死亡数の247人を下回る。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、町人口は40年に9847人までの減少を見込む。

16年に策定した町人口ビジョンは、40年の出生率2・0と、人口1万5千人を目指すとした。安定した雇用の創出、新しい人の流れづくり、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるといった四つの目標を掲げた。

■受け皿
新しい人の流れづくりに、町は移住と定住の支援に取り組んできた。16年から、まちづくり推進課に相談窓口を設置。相談会などのイベントも含め、毎年10人前後が移住相談に訪れる。多くは30〜60代の独身男性という。

定住人口の増加と町外への人口流出を防止しようと、町は町内に新たに住宅を取得した場合の定住促進奨励金を設けている。交付実績数は増加しており、19年は計52世帯175人が活用した。3世代で同居や近居した場合の増改築やリフォーム支援もしている。

首都圏から移住した30代会社員男性は「大洗は町として魅力的。都内の生活に疲れた人の受け皿として、ほかの地方と相違点をアピールできれば促進につながるのでは」と話す。

10月からは、町内で増加する空き家の解体やリフォームして利活用する経費の一部の補助制度を始める。移住や定住も狙いの一つだ。旧祝町小があった祝町周辺地区には地区計画案が出されている。今後、策定されれば住宅を建築する場合の出身地要件などが不要となり、町外などからの定住も期待される。

同課の担当者は「魅力を情報発信していく必要がある。ニーズを把握して支援し、町に来る人を増やしたい」と力を込めた。自治体間競争も激しくなる中、選ばれる町として、どう魅力を訴えかけるか問われている。

最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース