《新型コロナ》茨城県内大学、対面授業が再開 待望のキャンパス生活

新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインなどの遠隔授業に切り替えていた県内大学が、感染対策を講じることで次々と対面授業の再開に踏み切っている。国立のうち、茨城大(水戸市)は後学期初日の29日、遠隔授業と並行して3割の授業で対面形式を再開。学生同士で会話を楽しんだり、真剣な表情で授業に臨んだりする姿が見られた。筑波大(つくば市)は来月1日から一部再開するほか、既に対面授業を開始した私大もあり、学生からは再開を歓迎する声が上がった。
■1席空けて着座
正門からマスクを着用した学生が続々と入構する。水戸市文京の茨城大水戸キャンパスはこの日、対面授業を再開した。各教室では学生が1席以上空けて座り、小声で雑談しながら授業開始を待つ様子が見られた。
「オンラインよりも集中できた。先生の冗談にみんなで笑えるのも対面ならでは」。地球環境科学の授業に出た理学部2年の小川美宇さん(20)は目尻を下げた。前学期は途中から埼玉県の実家に戻り、遠隔授業を受けたという。
小川さんの授業日程は1限目が遠隔、2限目が対面、3限目が遠隔。パソコンを開いたり閉じたり、せわしない状況に「対面を増やしてほしい」と苦笑い。
遠隔授業中に通信できなくなったことがあるという教育学部1年の岩瀬大河さん(19)は、対面再開に「ほっとしている」。他学部の学生と交流が増え「友人をつくるのが楽しみ」と、本格的なキャンパスライフに期待した。
筑波大でも来月1日からの秋学期に合わせ、対面授業を一部再開した。「オンラインでは大学の意味がない。学生同士で分からなかったことを話しながら理解を深めるといった横のつながりがない」。大学院生の五十嵐一歩さん(24)は遠隔授業の欠点を挙げる。
■健康記録を提示
茨城大は感染予防策として、授業の曜日や時間を分散。教室の使用は定員の3〜5割程度に抑えることを目標に、授業によっては大教室に変更する。29日の水戸キャンパスは、学生数の約5割の延べ2200人以上が対面授業を受けた。
入国制限で来日できない留学生がいる科目や教員のキャンパス間移動を伴う科目は、可能な限り遠隔を継続する。水戸キャンパスでは後学期、実習など直接指導が必要な授業を中心に3割が対面となる見込みだ。
筑波大では、実験実習を伴う研究指導やゼミ活動を20人未満の少人数で実施。学生は授業やゼミに入る際、直近14日間の健康観察記録を担当教員に提示するなど、厳格な対策を講じる。
学生同士の間隔は前後左右1メートル以上取るため、同大は「100人を超える授業は遠隔で実施せざるを得ない」としている。学生に対面授業の参加意思を確認し、希望しない場合は配信などで対応する。
■私大、一足先に
後期・秋学期のスタートに伴い、県内私大も対面授業を再開した。茨城キリスト教大(日立市)は、後期開始の19日から基本的に対面に切り替えた。常磐大(水戸市)は18日から、実習を伴う授業など一部で対面を再開した。
流通経済大(龍ケ崎市)も21日から、卒論を控えた4年生のゼミなどで対面を認めた。千葉県内にもキャンパスを持ち、首都圏からの通学が多い。同大は「オンラインをベースに、感染状況を見ながら対面を増やしていく」としている。