昨年10月の台風19号(東日本台風)で被災した大子町の新たなまちづくりを考える「大子まちなかビジョン推進協議会」が19日に発足し、同町北田気の町営研修センターで第1回会議が開かれた。台風被害を受けた防災力強化、人口減少や少子高齢化を踏まえたにぎわいづくりをテーマにしたまちづくり計画案を、高梨哲彦町長が発表。新庁舎移転後の現在の町役場跡地のかさ上げと防災拠点化、道の駅奥久慈だいごの改修、建設予定の新庁舎と市街地を往来する自動運転バスの計画案などが示された。

同協議会は、国や県、町、地元商工会や研究者ら12人のメンバーで構成。国土計画・地域計画が専門の芝浦工業大学の谷口博昭客員教授が会長に選出された。

新たなまちづくり計画案では、現在の町役場跡地について、敷地かさ上げ後に排水施設を整備するなど防災拠点化することや、役場機能出張サービス、道の駅第2駐車場の整備などが示された。道の駅は、防災機能と交流機能を強化する観点から、観光物産館改修や駐車場拡大などを想定。高台に建設予定の新庁舎と市街地を巡回する自動運転バスや、駅前の交流拠点整備、市街地の回遊散策路の整備などの計画案も出た。

協議会では高梨町長が、河川氾濫による計588棟の建物被害や町役場の浸水、JR水郡線の橋梁(きょうりょう)流失など、台風被害の概要や復旧復興の状況に加え、県内トップの46%と高い高齢化率など、町の課題を説明。高梨町長は「台風から1年がたったがまだまだ復興に時間がかかる。しかし、大子には袋田の滝やリンゴ、米、お茶などの資源がある。逆転のシナリオを描いて取り組む」と力を込めた。

協議会終了後、谷口会長は「いろいろな意見が出た。ハードだけでなくソフト政策も充実させ、まちの特性を生かす議論も必要」と話した。参加した地元の町商工会の大藤博文会長は「台風で大変な被害を受けたが、これを機に、住みやすく、また来たいまちにしなければいけない」と語った。

同協議会は今後も会議を重ね、今年度中のまちづくり計画策定を目指す。