古河市長選解説 針谷氏 中長期的まちづくり評価
前回と同じ顔触れの一騎打ちとなった古河市長選は、現職の針谷力氏が再選を果たした。3市町合併時の新市建設計画などの実現に向け、中長期的な視点でまちづくりを進めた針谷氏に、有権者は引き続き市政を託した形となった。
選挙戦は新型コロナウイルス対策を巡り、元職の菅谷憲一郎氏が公約に掲げた現金1万円や生活応援券5万円分の支給の是非が焦点となった。針谷氏は、菅谷氏の主張を財源の面から否定。医療体制の充実や医療機関への補助を進めることで「市民の命を守る」と訴えた。
もう一つの焦点は市政の継続性、持続性だった。針谷氏は出発式や街頭演説に駆け付けた大井川和彦知事や県議、国会議員とのパイプを強調。県や国との連携による新たな工業団地造成計画を明らかにして、将来の雇用拡大や財源確保の実現性を有権者に示した。
ただ針谷氏の1期目について「具体的な成果が見えない」と、不満を募らせる市民は少なくない。また多額の事業費が見込まれる新駅「南古河駅」(仮称)など、新市建設計画には「無駄に公金を使うな」といった声も多く、理解が浸透し切れていないのが現状だ。
選挙のたびにトップが交わり、政策が変更される影響で、古河市は合併15年目の現在も古河、総和、三和の各地区の融和が図れていない。新市建設計画の実現が市全体の利益につながることを丁寧に説明し、目に見える成果を示して市民の一体感を生み出せるか。針谷氏の手腕が問われる。