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自動運転ロボやAIバス 高齢社会の新交通探る 土浦市、15日から実験

つちうらマースの実証実験で提供される自動運転1人乗りロボット
つちうらマースの実証実験で提供される自動運転1人乗りロボット


土浦市で新交通システムの導入が検討されている。高齢社会での公共交通の在り方を見据え、自動運転の1人乗りロボットや人工知能(AI)を使った循環バスの運行を目指す。市やバス会社などでつくる団体は、15日から約1カ月間、最先端の技術を取り入れた社会実験を行い、導入の方向性を見定める方針だ。団体では「高齢者の足の確保と、地域の経済活性化の起爆剤になれば」と期待を込める。

新交通システムは、公共交通の活用を前提に、さまざまな交通手段を一体的に提供するサービス「MaaS(マース)」の土浦版「つちうらマース」の実現を目指す。市や事業者が参加する推進協議会が昨年7月に発足し、実験へ向け話し合ってきた。背景には、バスの利用者減に伴う減便や廃線が相次ぐ中、運転免許証の返納で高齢者の足がなくなることへの市や地域の危機感がある。

実証実験では、今後訪れる超高齢社会に備え、公共交通を使いやすくするためのさまざまなサービスを試すのが狙い。国の支援事業にも選ばれた。

まずネットサービス会社「ジョルダン」(本社東京)が提供するスマートフォン向けのアプリ「乗換案内」を使い、バスの経路を検索できるようにする。市中心部を走るバスの乗車を促すため、アプリでは同市内の約60店舗で買い物できる利用券を売り出し、購入者はスマホのキャッシュレスで利用できる。店舗は実験期間中、利用者に特典を用意する。

自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」では、電動キックボードの走行実験を県内で初めて行う。電動キックボードは、バス停から自宅などへの利用を想定する。実験では、擦れ違いや並んで走ることが安全かどうかを確認する。

同市郊外にある新治地区では、8人乗りのワゴン型乗り合いバスを運行する。期間中の前半は決まった経路を走り、後半は予約して配車する方法にする。運行に当たり、多くの人の動きを計測したビッグデータを筑波大が読み解き、バスの経路を決めた。乗り合いバスは同地区とバス停、商業施設などを結ぶ。乗車の際にはマイナンバーカードと顔認証の技術により乗客を認証する。AIによる予約乗車も実験する。

新治地区ではバス停から同地区公民館までに高齢者が乗れる自動運転1人乗りロボットも走らせる。

推進協事務局の関東鉄道は「公共交通に乗ることで経済活性化にもつながる実験になる。観光客の周遊や市民の移動手段の確保を目指していく」と指摘。安藤真理子市長は「高齢者の足をどうするかは重要な課題。新しい交通体系を未来に向けてつくっていければ」と語った。

★つちうらマース推進協議会
新しい公共交通「つちうらマース(土浦市新モビリティサービス)」を推進するため設立。市のほか、バス運行者の関東鉄道とJRバス関東、県ハイヤー・タクシー協会、市内循環バス「キララちゃんバス」を運行するNPO法人まちづくり活性化土浦が参加。土浦商工会議所、県、筑波大都市計測実験室なども加わり計8団体で構成している。

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