水戸芸術館、震災経験見詰め直す企画展 20日から 言葉や絵画、映像
東日本大震災から10年を迎えるに当たり、水戸市五軒町の水戸芸術館現代美術ギャラリーで20日から、企画展「3・11とアーティスト:10年目の想像」が始まる。5人と2組のアーティストが制作した言葉や絵画、映像などの作品を通して、震災の経験を見詰め直す。
出品作家は加茂昂(あきら)さん、佐竹真紀子さん、高嶺格(ただす)さん、ニシコさん、藤井光さんの5人と、小森はるかさん・瀬尾夏美さん、「Don’t Follow the Wind」の2組。1960年代後半から90年代初め生まれの作家たちで、いずれも、震災を自らのテーマとして芸術活動に取り組んできた。
会場は出品作家別に部屋が分けられている。導入部の第1室には、同館がしつらえた2011年3月11日以降の大きな年譜とともに、小森さん・瀬尾さんの作品を展示。壊滅的な津波被害に遭った岩手県陸前高田市の人々の言葉をのせた書見台が並び、当時の記憶を呼び覚まさせる。
東京電力福島第1原発事故を踏まえた作品も出展。震災を経験していない児童が演技して「福島差別」の問題を問う映像や、帰還困難区域にある柵などに「境界」の深い意味を問い掛けた絵画もある。
企画した同ギャラリーの竹久侑主任学芸員は「想像力の喚起をテーマに据えた。震災以降に生まれた世代へ、どう語り継いでいけるのかという問題意識も込めた」と話した。
会期は5月9日まで。月曜休館。