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《新型コロナ》寄宿舎クラスター防げ 茨城県内の特別支援校 密着避けられず不安も

距離を保ちながら自習時間に勉強する水戸特別支援学校の寄宿舎生たち=水戸市吉沢町(同校提供)
距離を保ちながら自習時間に勉強する水戸特別支援学校の寄宿舎生たち=水戸市吉沢町(同校提供)


新型コロナウイルスの感染拡大で、学生寮や障害者施設などでクラスター(感染者集団)が相次ぐ中、茨城県でも大学や高校の寮で複数発生した。生徒が集団生活を送る寄宿舎がある県内の特別支援学校では、ガイドラインを作成して対策を徹底。今のところクラスターは発生していない。ただ、職員は生徒の介助で密着が避けられず、不安を抱えながら寄宿舎での感染防止に努めている。

■3人部屋2人に
県立水戸特別支援学校(水戸市)は、肢体不自由の中学部2人と高等部13人の生徒計15人が寄宿舎を利用する。集団生活を通してコミュニケーション能力の育成や自立を図っている。

新型コロナ対策は「持ち込まない、持ち出さない」が合言葉。毎日の登下校時、職員は生徒が座る車椅子の持ち手や肘掛けなどを消毒して回る。

同校は昨年6月、「学校再開ガイドライン」寄宿舎版を作成。寄宿舎は3人部屋だったのを最大2人に減らし、就寝や自習時のソーシャルディスタンスを確保するよう指導する。

入浴は洗い場と脱衣所の利用を2人までに制限。入り口をできるだけ開放して換気する。食堂では真正面で対面しないように椅子を配置。会話は控え、食べ終わったら部屋に戻るようにした。

寄宿舎の鮎沢富子指導長は「一斉にいただきます、ごちそうさまはできなくなった」と肩を落とす。「一緒にいないための工夫が当たり前になっている」

■人手不足
同校の寄宿舎職員は計17人。夜間は6人が舎監として泊まり込む。職員に感染者が出た場合、寝食を共にする他の職員が濃厚接触者になる可能性がある。鮎沢さんは、「職員が自宅待機となって人手不足になれば、寄宿舎は閉めるしかない」と話す。

気掛かりは他にもある。食事や歯磨きなどの生活介助では、生徒と教員間の密着度が必然的に高くなる。「無症状で感染していたらどうしよう、と職員皆が心配している」

不安は尽きないが、遠隔地に自宅がある生徒は、寄宿舎が閉まれば事実上通学できなくなる。鮎沢さんは「県独自の緊急事態宣言が解除になっても、感染対策は徹底して続ける」と注意を払っている。

県教委によると、県内の特別支援学校は県立23校、国立1校、日立市立1校の計25校。寄宿舎があるのは県立6校で、視覚障害と聴覚障害が各1校、肢体不自由と知的障害が各2校ある。

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