茨城県医師会は19日、新型コロナウイルスの集団感染が起きた医療機関に対し、医療支援チームを派遣する仕組みを整備すると発表した。県内の医療機関でクラスター(感染者集団)発生が相次いでいるためで、人手が薄くなった現場に医師や看護師でつくるチームを派遣し、診療を継続できるようにする。

同日の定例会見で鈴木邦彦会長が明らかにした。

支援チームは新型コロナ版のJMAT(医療救護班)。今後、おおむね各地域の医師会ごとに編成し、県からの要請を受け、集団感染が発生した医療機関に派遣する。

病院で集団感染が起きると、感染して療養が必要になったり、濃厚接触者として自宅待機になったりする職員が増え、人手が不足する。影響で、通常診療を一部制限せざるを得ない例もある。

チームの派遣はこうした事態を防ぎ病院の機能を維持するのが狙い。医師や看護師、薬剤師、事務職員などで構成し、活動するのは感染者が確認された病棟などの「レッドゾーン」ではなく、それ以外の一般診療への支援活動を想定している。

同会は今後、各地域の医師会に協力を要請して協力スタッフを募る。活動に必要な物資の提供や日当などついて県と協議を急いでおり、鈴木会長は「県内も決して安心できる感染状況ではない。第4波が来る前にはチームを立ち上げたい」と述べた。

集団感染が起きた医療機関や高齢者施設への支援を巡っては、既に県版のクラスター対策班があり、感染症専門の看護師らが、感染防御の指導や動線を分ける「ゾーニング」などの支援を実施している。JMATはその周辺で活動することになる。

高齢者施設については、クラスターが発生した場合に別の施設から応援職員を派遣する制度が整っている。