日立市 高齢者分コロナワクチンを医療従事者に振り替え 供給不足で方針

新型コロナウイルスのワクチン接種で、茨城県日立市は8日までに、高齢者接種分として来週供給されるワクチン2箱(1瓶5回で計1950回分)を医療従事者向けに振り替える方針を決めた。市は当初、4月中旬にも高齢者施設の入所者と職員への接種を開始する予定だった。ワクチン供給量が依然として少ないことから、市医師会と協議の上、接種を担う側の医療従事者を最優先にするのが妥当と判断した。
ワクチン接種は、医療従事者は県、高齢者を含む住民は市町村が実施を担当する。同市には高齢者向けとして12日の週に2箱、26日の週に1箱が届くことになっている。
市は3月29日に市内の65歳以上の高齢者約6万人に接種券と予診票などをセットにして送付した。その上で特別養護老人ホームなどの高齢者施設でのクラスター(感染者集団)防止の観点から、市内87カ所の施設入所者と職員計約5200人を先行させ、その後に在宅の高齢者を開始するスケジュールを示していた。
だが、市内約6千人の医療従事者に対する接種は「大幅に遅れている」(市保健福祉部)のが現状だ。市地域医療対策課によると、市内医療従事者分は3月に2箱が届いたものの、4月は12日の週に2箱しか予定が決まっていない。市は国が高齢者分の振り替えを容認したことを踏まえ、順番を一部入れ替える。
当面は、高齢者分として来週届く2箱を医療従事者に使用。高齢者施設などの接種を担う嘱託医と看護師、発熱患者の診療や検査をする診療検査医療機関の医師など、計約300人を最優先で接種する。市は「注射を打つ側の医療従事者の感染リスクを抑えるのが、円滑なワクチン接種につながる」(同)としている。
さらに、26日の週に届く高齢者分の1箱についても、状況に応じて医療従事者向けとする方針。
市は供給量をにらみながら、高齢者接種をスタートさせる。「5月以降は供給が大幅に増える見込み」(地域医療対策課)として、高齢者施設を先行させつつ、在宅高齢者も開始する予定だ。ただ、在宅高齢者の予約や接種の開始時期は固まっていない。