衆院選 略称同じ「民主党」困惑 立民と国民 両党「正式名記入を」
31日投開票の衆院選で、立憲民主と国民民主の両党が、比例代表の政党略称を同じ「民主党」としていることに戸惑いが広がっている。20日に期日前投票が始まって以降、茨城県選管や両党県連には「投票所の表示は間違いでは」「分かりにくい」などの問い合わせが相次ぐ。「民主党」票は両党で案分されることになるため、両党は党名を略さず記入するよう有権者に訴えている。
期日前投票の会場は、選挙区ごとに届け出候補者名を張り出しているほか、比例代表9政党の名称、略称一覧を掲示している。このうち立民と国民は、ともに同じ略称「民主党」を使う。
両党は昨年9月、分党や結党を経てそれぞれ新政党として誕生した。公選法に基づく衆院選比例代表の略称は、ともに「民主党」と総務省に届け出た。同法は複数政党が同一略称を使用することを認めている。
県選管によると、民主党と書かれた投票用紙は両党の得票割合に応じて「案分票」として割り振られる。一方、「民主」と書かれた投票用紙は、自由民主党や社会民主党など他の政党と混同する恐れがあり、無効票になる可能性もあるという。
投票所に張り出す党名の表示順は、都道府県選管がくじ引きで順番を決めるため都道府県ごとに異なる。茨城県では今回、両党が偶然隣同士となったため違和感が際立つ。
県選管には20日以降、「民主党と書くとどの政党に票が入るのか」「そもそも届け出を受けるべきではなかった」といった問い合わせが複数寄せられた。
両党の県連や各候補者陣営は、党の正式名称を記入するよう周知を図る。
立民県連は、有権者の指摘を受け、各陣営の街頭演説や選挙カーで略称を使わず、「比例は立憲民主党」と訴えている。県連幹部は「誤解を招きかねない。少し長くなるが正式名称でお願いしている」と話す。
国民県連にも、有権者から「何て書けばいいの」などと問い合わせがあるという。県連は、支持者回りや街宣の際に「民主党ではなく国民民主党または国民と書いてほしい」と強調している。
2019年の参院選比例代表の略称は、立民が「りっけん」、国民が「民主党」とそれぞれ届け出ていた。