《連載:衆院選 わたしの一票》(1) コロナ対策


■計画的な人材育成を 水戸市、看護師 豊崎達朗さん(34)
年明け以降、コロナ専用病棟で懸命に患者の看護に当たってきた。今夏の流行「第5波」では病床の半数以上が埋まり、現場は「これまでの比にならない壮絶さだった」。
症状が急速に悪化する人や重症者も多く「その怖さを肌で感じた」。呼吸状態などに目を配り、体を拭いたり向きを変えてあげたり。「防護服は蒸し暑く、汗だくになる。何時間も着たままで頭がぼーっとすることもあった」
患者の中には後遺症に苦しむ人もいる。みとりも経験した。「『もっと何かできたのではないか』という無力感と、感傷に浸る余裕がないほどの忙しさで、複雑だった」
世間が東京五輪に沸く中、休日はひたすら眠った。ただ、緊張状態が長く続いたせいか、何度も夢にうなされた。重症者でいっぱいの病棟に別の患者が次々に運ばれてくる。「医療崩壊した現場で、夢の中の自分は走り回っていた」
「悪夢」が現実化しないよう「第6波」への対策に注目している。医療体制の強化が指摘されているが、「特に重症対応は、すぐに実践できるものではない。病床を活用できるよう計画的に人材を育成し、効果的な対策につなげてほしい」。
■現場を理解する人に 茨城県ひたちなか市、飲食店店長 白石義則さん(47)
新型コロナウイルスで客足は遠のき、先行きは見通せない。「みんなが(流行の)『第6波』が来るんじゃないかと警戒している」と嘆く。
店長を務める日本料理「六角や」(ひたちなか市)では感染防止のため、客席を4割ほど減らして営業を続ける。「お客さんを入れられない。コロナ前の売り上げまで行くわけがない」と肩を落とす。「緊急事態宣言を解除して終わりじゃなく、少なくとも1カ月は補償を継続してほしい」
宣言下で時短営業を迫られた。「お酒も出せない。仕入れから何から頭を使った」。休業しなかったのはアルバイトの雇用継続のためだ。働けなければ、好調な業種に流れてしまう。「人手がなくなったら終わり。スタッフがいてなんぼ」と力を込める。
期待を寄せるのは飲食業界の支援策「Go To イート」の拡充だ。「補助率を上げた方がみんな使うし、出歩く気になる」とみる。
不安ながらも前を向くのは「私たちが頑張らないと、魚屋も酒屋も全部悪くなっちゃうから」。コロナ下で初の大型国政選挙を迎え、自身の一票に思いを託す。「リアルな現場を理解する人を選びたい」