苗木運搬にドローン 茨城県や事業所 効率化へ検証試験
ドローンを活用した苗木運搬の作業効率化などを検証する試験が28日、茨城県大子町上野宮で行われ、苗木を人力で山の中腹まで運ぶ作業と、ドローンでつり上げて運ぶ作業を比べ、時間短縮や労力軽減の程度などを試した。県大子林業指導所や町農政課、町内で林業を営む事業所などの若手従事者が実施した。
森林環境整備で伐採後の植栽や下刈りにかかる費用は伐採木の販売価格を上回ることがあり、作業の低コスト化が喫緊の課題。8月に勉強会を発足し、先進技術を活用した「スマート林業」について導入検討を始めた。
この日は高低差約80メートルの急斜面、直線距離100メートルで行われ、1袋に重さ7キロある50本の杉の苗木を入れ、ドローンでつり上げた。人力では50本入り1袋を背負い、もう1袋を抱え、山と山の谷間など約350メートルの距離を上り下りした。100本の運搬に往復でかかった時間はドローンが3分54秒、人力が15分3秒だった。
若手従事者からは「慣れれば作業の効率化が図れる。労働力不足には最適」「積極的に使用していきたい」など前向きな声が聞かれた。同町では来年度から、所有する苗木運搬用のドローンの貸し出しを町内の林業事業体に行う予定。県は新技術導入補助の支援を検討中。ただ、ドローンなどがコスト高で、植栽時期しか使用しないことから費用対効果を勘案すると導入はハードルが高いなど課題もある。