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新型コロナワクチン不足心配 茨城県内自治体や医療機関 3回目接種準備

感染拡大「第6波」に備え3回目のワクチンを接種する「きし整形外科・内科」の医療従事者=土浦市大和町
感染拡大「第6波」に備え3回目のワクチンを接種する「きし整形外科・内科」の医療従事者=土浦市大和町


■前倒し拡大 供給量にらみ調整

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」による感染が広がる中、茨城県内自治体や医療機関が3回目のワクチン接種準備に奔走している。医療従事者、高齢者施設の順で日程を組み立てるが、国からワクチン供給量の情報が速やかに示されず、「どこまで計画通りいくのか」と不安も抱える。関係者からは「予約と接種を行うアクセルとブレーキの加減が難しい」と悩む声が聞かれる。

■取り合い

「(オミクロン株は)感染力が強い。しっかり備えたい」。土浦市大和町の「きし整形外科・内科」。岸秀行院長は急速な感染拡大に危機感を表した。同院は14日、医療従事者に3回目のワクチンを打った。

今後、関連の施設入所者ら約100人に先行接種する。昨年、院内と集団接種会場に医師を派遣し、市民に1~2回目のワクチンを接種。しかし8月、予約の殺到に加えワクチン不足の情報が出たため、一時的に受け付けを中止した。3回目について「ファイザー製に統一して入荷次第早めに打ちたいが、不足すると取り合いになったり接種が遅れたりするのでは。そろりそろり調整しながら進めたい」と見据える。

市によると、同市内では医療従事者のワクチン接種を実施。13日からは高齢者施設でも入所者向けの集団接種が始まった。

■少しずつ

国は一般高齢者のワクチン接種について、2回目接種からの間隔を当初の8カ月から6~7カ月に前倒しする方針を決めた。大井川和彦知事も、6カ月への短縮方針を明らかにした。

自治体では国や県の方針を受け、接種を前倒しする動きが広がる。土浦市は1カ月前倒しして7カ月に。さらに「できる範囲でもう少し前倒しを検討する」と話した。かすみがうら市も7カ月からの前倒しを図る。個別医療機関では24日から接種を始め、集団接種は2月17日から始める。

水戸市は「6カ月以上」への前倒しを発表。担当者は「在庫と今後の配分で決めた。4月上旬の供給日程が示された」と息をつく。「コントロールしながら少しずつ接種していきたい」と話した。

■確保要望

「ワクチン接種の前倒し競争になるのは心配」。県南の自治体関係者は不安を隠さない。昨夏の感染拡大「第5波」ではワクチン供給が不足。一時、予約の中止を余儀なくされた。今回も同様の事態に陥ることを懸念する。不足した近隣自治体に融通した例もある。担当者はワクチン供給が遅れた場合、接種券を送った市民数千人が接種できなくなる恐れもあると試算した。「前倒し方針とワクチン供給計画はセットのもの。できるだけ早く供給日程を示してほしい」と指摘。市民には「早く打てないのかと苦情が来るが、計画的に接種するので冷静になって」と呼び掛ける。

別の自治体担当者も「予定していたワクチン量が減らされて配分された。ワクチンが不足したら何のための前倒しか分からず、市民に申し訳ない」と訴える。8カ月に据え置く小規模自治体もあり、「医師確保が難しく前倒しできるかどうか」と頭を抱える。

県内ワクチンの確保と配分に奔走する県は、14日にファイザー、モデルナ製の供給量が国から一定程度示されたとし、「4月上旬まで県全体の配分量が示され、ほっとした。国にワクチン確保を要望するとともに、きめ細かな情報を出して市町村の不安を緩和したい」と強調した。



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