《解説》茨城・境町長選 指導力発揮し総仕上げへ
茨城県境町長選は無投票で現職の橋本正裕氏が3回目の当選を果たした。
橋本氏は厳しい財政状況の中、ふるさと納税や国の補助金をフル活用するなどして、これまで2期8年で新規事業を次々と行ってきた。町内の各種団体などと膝を交えた地道な活動が町民や議会の信頼につながり、今回の選挙戦では町議全員が早々と支援を表明。オール与党の町議会をバックに、3期目は「総仕上げの4年間」と位置付ける。
橋本氏が継続して取り組むべき町の課題として挙げるのは、財政再建▽人口減少対策▽ひとの創生(職員の資質向上)-の3点。
町の財政は、町長に就任した2014年度から20年度までの7年間で大きく改善し、地方債残高は約20億円減少。財政規模に対する負債の割合を示す将来負担比率も県内ワーストの184・1%から88・8%まで半減したが、それでも県内市町村で7番目に高い。
橋本氏は「25年度までには36%まで改善する見込み」と自信を見せるが、長引く新型コロナウイルス禍で厳しい経済情勢が続く中、予断を許さない。
町の人口は減少傾向にあるものの、16年から転入超過に転じ、近隣市町村と比べると減り幅は緩やかだ。ただ人口約2万4千人の小さな自治体だけに、今後も小児科クリニックの誘致や働き先の確保、教育負担の軽減など、手厚い移住・定住支援が欠かせない。
コロナの収束が見通せない中、引き続き強いリーダーシップを発揮し、「総仕上げ」ができるか。橋本氏の手腕が問われる。