《リポート》茨城・神栖市選管 低投票率〝汚名返上〟へ 参院選 16、19年県内最低
■特典検討や学校で講座 意識調査分析に期待
今年夏に行われる参院選。過去3回(2013、16、19年)における茨城選挙区の投票率はそれぞれ、49.66%、50.77%、45.02%と、いずれも全国平均を下回り、3回連続全国41位。中でも神栖市は16、19年が42.94%と39.46%で、県内自治体最低。13年でも46.54%で37位だった。選挙まであと約半年。市選挙管理委員会にとって〝汚名返上〟へ、知恵を絞り出す日々が続きそうだ。
▽地元選挙も
「投票率が県内でも最低クラスというのは恥ずべきことだ」。昨年12月に開催された神栖市議会定例会一般質問。登壇した10人中4人が、低投票率について執行部の考えをただした。
そこには一つの「伏線」があった。定例会の直前、11月に行われた市長選。現職と元市議会議長という、有力者同士の一騎打ちだったにもかかわらず、投票率は49.35%。5割を切り、過去2番目に低かった。
加えて、20年2月に行われた市議選の投票率。神栖町と波崎町が合併し同市になって以降、最低の49.75%。やはり5割を切り、当選した議員から「われわれは50%の信任を得ていない議会」などという発言まで飛び出した。
市議選や市長選という、極めて市民に身近な選挙ですらの低投票率に、議会側が危機感を抱いたことは想像に難くない。
▽二つの観点
市選管は投票率向上への施策について、「即効性」と「長期的視点」という二つの観点から、検討や実施を手掛けている。
「即効性」の具体案は、同定例会で議員も提案。その一つが「選挙割」。投票後にもらえる「投票済証明書」を見せると、市内協力店で商品の割引サービスなどが受けられる仕組み。選管は「どんな団体に運営してもらえるか、探している段階」という。
さらに、やはり議員から提案のあった「半券でグッズプレゼント」。投票した際の番号付き半券を抽選券とし、当選者に商品をプレゼントする。選管は「公職選挙法との絡みもあり、できるのかどうか調査中」としている。
「長期的視点」は、将来の有権者である小中高生を対象とした主権者教育を主眼に置くことだ。
市は選挙出前講座を設けており、毎年度当初、市内各学校長に活用を呼び掛けている。本年度は6校から依頼があった(うち3校はコロナで中止)。
昨年の市長選で、18~24歳の若年層投票率平均は、わずか24.96%。ちなみに選管が昨年度、市内高校生に「なぜ神栖市の投票率は低いのか」を調査したところ、「投票しても政治は変わらない」「選挙より自分優先」「無関心」などの回答が多かったという。
▽自由記述欄
いま選管が「投票率向上への手掛かり」として期待しているのが、昨年末に実施された、選挙に対する市民の意識調査だ。
5000人の有権者が対象。1月20日現在の回収数は2044(回収率41%)。前回の調査640(同13%)に比べ、関心の高さがうかがえる。選管はその理由を「県知事選、衆院選、市長選と、昨年選挙が続いた『余波』かもしれない」とみている。
設問では「投票に行かなかった」場合の追加質問をを増やし、その理由をより深く探れるようにした。また、若年層の投票率低下を受け、その投票率アップの方策を提案できる「自由記述欄」を設けた。
現在、調査結果をまとめ、その分析を急いでいる。選管は「回収数の大幅増で、より生の声や本音が分かると感じている。詳細な分析もできると思うので、その結果をぜひ選挙啓発に生かしていきたい」と話している。












