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研究炉事故想定し訓練 茨城・東海村 村民ら避難手順確認

基準値を超える放射性物質の検出を想定したバスの除染訓練=21日午前、那珂市戸崎の那珂総合公園
基準値を超える放射性物質の検出を想定したバスの除染訓練=21日午前、那珂市戸崎の那珂総合公園


茨城県東海村は21日、昨年運転を再開した日本原子力研究開発機構の研究用原子炉「JRR-3」(同村白方)で事故が起きたことを想定し、住民参加の避難訓練を行った。訓練には村民168人をはじめ、村と関係機関の職員ら計約420人が参加。村民が避難するまでの手順や、放射性物質の付着を調べる避難退域時検査(スクリーニング)の方法などを確認した。

研究炉の事故を想定した訓練は東日本大震災以降では初めて。訓練は、原子炉プール内に異物が混入した影響で、核燃料を冷やす水の流れが阻害され、冷却が不足して核燃料が破損し、放射性物質が環境中に放出した想定で行った。

事故発生を受け、午前8時1分に災害対策本部を設置し、各担当者が事故の状況や放射性物質のモニタリング結果などを説明した。防災無線やエリアメールなどを活用し、最初は屋内退避を呼び掛けたが、事態収束の見通しが立たないとして、避難を決定した。

村民は自家用車や、村内3カ所の一時集合場所に集合し、バスで避難所の那珂総合公園(那珂市戸崎)に向かった。

同公園ではスクリーニングが行われ、バスに基準値を超える汚染が確認されるとその場所を特定し、防護服を着た担当者が、シートで拭き取って除染した。避難者の検査手順も確認した。

同村須和間、団体職員、川崎克也さん(63)は一時集合場所からバスで避難。移動は円滑だったとしつつ、「バスの除染で待機している際、何をしているか説明があれば不安も減ると思う。小まめに情報提供があれば」と話した。

新型コロナウイルス対策を考慮した訓練として、避難所や一時集合場所で発熱などがある体調不良者や、濃厚接触者がほかの避難者と接触しないよう動線を分け、抗原検査も試行した。

訓練後、山田修村長は「これまで訓練してきた日本原子力発電東海第2原発と研究炉では避難の仕方が異なる。原発との違いを理解してもらえるよう努め、村民に分かりやすく伝えるための広報も考えたい」と述べた。

村は昨年5月、研究炉や再処理施設など原発以外の原子力施設事故に備えた基本方針を発表した。事故発生時は屋内退避し、放射性物質が放出された際は基準を超えた地域の村民が原則自家用車で避難。要支援者ら不可能な人は一時集合場所からバスや福祉車両で移動する。

村内では5施設が対象で、JRR-3は半径5キロが「原子力災害対策重点区域」となり、村内全域が含まれる。村民は日立、常陸太田、那珂3市に避難することになっている。



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