《解説》茨城県笠間市長選 5期目「聞く耳」大切に
茨城県笠間市長選は、現職の山口伸樹氏が無投票で5選を果たした。一部からは「多選」と指摘する声もあったが、国内最大級のスケートボード場の整備、道の駅の開業など交流促進に取り組み、安定した市政運営が評価された格好だ。
懸案である人口減少や少子高齢化を見据え、ほかの自治体に先駆けた地域活性化策を展開してきた。全国市長会副会長や県市長会会長を務めるなど、国や県との橋渡し役も担った。
新型コロナウイルス下での「決断力」も評価されたといえる。昨年春、誘客イベントがことごとく中止となる中、同市にとって最大の笠間焼イベント「笠間の陶炎祭(ひまつり)」について、感染防止策を徹底した上で、2年ぶりの開催実現を後押しした。同年には、スケートボード日本選手権を笠間市に初めて誘致。選手たちの躍動を県内外のファンに見せる場を提供するなど、持ち前の行動力で多くの期待に応えた。
ただ、感染防止対策と経済の立て直しが今後も継続して求められることに変わりはない。国や県と連携を図りながら、引き続き、市民の命と健康を第一に考え取り組んでいかなくてはならない。
初当選の2006年から16年にわたり、市長の座にあることを疑問視する声があることも山口氏本人が認めるところだ。5期目のかじ取りに当たっては、改めて市民や職員の声に「聞く耳」を持ち、市政運営にまい進してもらいたい。